問題はサポートデバイスである。先に挙げたようにeCosの最新バージョンは3.0で、ターゲットデバイスはARM、CalmRISC、Cortex-M、FR-V、FR30、H8、IA32、68K/ColdFire、Matsushita AM3x、MIPS、NEC V8xx、PowerPC、SPARC、SuperHとなっている。のだが、サポートハードウェアのWebサイトをご覧いただくと分かるが、既にWebサービスのメンテナンスができてないようで、まともに表示ができないありさま。ダウンロードのページに行くと現在の3.0でサポートされている内容が、以下のように示されている。
現時点でのGCCの最新バージョンが12.2(13.0はまだ開発中)ということを考えると、まず環境をそろえるのが一苦労だ。またeCosのダウンロードも、ミラーサイトがかなり死んでいる(http://mirrors.kernel.org/sources.redhat.com/ecos/およびhttp://mirror.facebook.net/sourceware/ecos/の2つはまだ生きていることをは確認した)という状況である。
ではeCosCentricは何をやっているのか? というと、製品版であるeCosProに注力している。こちらはオープンソースソフトウェアではなく、ライセンスを購入する必要がある商用製品だ。eCosCentricは、どうもGNUのソフトウェアを全て書き換えたもようで、ここまで説明したeCosの特徴そのものは継承しつつも、独自のRTOSとして生まれ変わった形だ。
最新版のVersionは4.1に上がっている。eCosProのDeveloper Kitでサポートされているプラットフォーム一覧はこちらのWebサイトで確認できるが、もう少し新しいCortex-A5やCortex-M7、NIOS IIなどもターゲットに入っている。「Raspberry Pi」などもサポートされているので、お手軽に試すならこのあたりを選ぶのがよいだろう。
μITRON互換APIといったeCosの特徴もそのまま継承されている(図4)。ちなみに有償製品と言いつつ、実際にはeCosPro Non-Commercial Public License(非商用向けに無償での利用可)とeCosPro License(商用向けライセンス)が提供されているので、まずは無償版で試してみてはいかがだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.