ロボットベンチャーのクフウシヤは「Japan Robot Week 2022」で、開発中の階段昇降ロボットを展示した。2023年の製品化を目指しており、実現すれば世界初の階段昇降ロボットの製品化になるという。
ロボットベンチャーのクフウシヤは「Japan Robot Week 2022」(同年10月19〜21日、東京ビッグサイト)で、開発中の階段昇降ロボットを展示した。2023年の製品化を目指しており、実現すれば階段昇降ロボットとしては世界初の製品化になるという。
階段はほとんどの建物に用いられており、建物が高層になるほど階段の数は増える。ビルの場合、エレベーターなどがあるため階段の利用頻度は低いものの、緊急時の利用に備えて定期的な点検や清掃が欠かせない。
階段昇降ロボットは、バッテリーなどを搭載した制御電源モジュールと、全方位に動けるホイールを持つ移動モジュール、外装部分の構造モジュールの3つに分かれており、それらを伸ばしたり縮めたりすることで階段を昇降する。
階段を上る時は前方に付く超音波センサーで階段の高さや階段までの距離を認識し、下りる際は接地センサーで地面に着いたかどうかを判断する。左右への移動は側面の超音波センサーで壁を検知する。IMU(慣性計測装置)も搭載しており、転倒など姿勢の異常時には通知する機能の実装も可能という。階段昇降する設計で特許も登録済みだ。
ブースでは、試作機にごみをかき込むスイーパーを付け、掃除しながら階段の上り下りをする階段掃除ロボットとして紹介したが、カメラを付ければ非常階段の点検自動化にも対応する。警備員が見回るには階段の昇り降りは負担が掛かる。人手不足が顕著になる中、不動産開発会社も関心を示している。
クフウシヤ 代表取締役の大西威一郎氏は「既存技術がないのではなく、マーケットが小さいので目を向けられてこなかった。だからこそ、われわれはニッチなマーケットに向けたニッチな技術に特化していきたい」と語る。同社では過去に平面床向けの自律型ドライ清掃ロボット「Asion」を開発した経験がある。階段昇降ロボットの販売価格は100万円程度を目指す。「シンプルにコストを抑えて、安全に階段昇降する構造を考えた」(大西氏)。
クフウシヤはオープンソースソフトウェアのROS(Robot Operating System)やAI(人工知能)などのソフトウェア開発を強みとしている。「ROSを本業としているのは国内に数社しかない。今、ロボットは大転換期。われわれはROSにこだわっており、その点を評価していただいている」(大西氏)。
その他、中国のUnitreeの4足歩行ロボット「Go1」に、LiDAR(Light Detection And Ranging)や小型PC、バッテリーを搭載した自律移動ロボットも紹介した。4足歩行ロボットの悪走破性の高さを生かし、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで外周フェンスなどの目視点検の自動化にも取り組んでいる。大手メーカーの製品に比べ、導入コストは10分の1程になるという。
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