2022年9月1日、ミスミはシステム開発を手掛けるコアコンセプト・テクノロジーとの合弁会社「DTダイナミクス」を設立した。ミスミが手掛けるデジタル部品調達サービス「meviy」の開発を加速するためとするが、通常の企業連携の枠を超えて合弁会社を設立した理由とは何か。関係者に話を聞いた。
Webブラウザ上で機械部品の3DCADデータを一括アップロードすると、AI(人工知能)が自動解析し、見積もり価格や納期を即座に提示する。さらに図面から製造プログラムが自動生成されるため、最短1日という超短納期で部品を出荷することも可能――。ミスミグループ本社(以下、ミスミ)が提供する「meviy(メビー)」は、これまで何十時間もかかっていた部品調達プロセスを大幅に効率化するサービスとして、大きな注目を集めている。既にトヨタ自動車やパナソニック、キヤノンなど、大手企業をはじめ国内製造業全体で導入が進んでいる。
さらにミスミは現在、国内に加えて海外でもmeviyの事業展開を加速し、「“グローバルナンバー1”のサービス」(ミスミ 常務執行役員 兼 ID 企業体企業体社長の吉田光伸氏)への成長を目指している。このための布石として、2022年9月1日、ミスミはあるリリースを発表した。システム開発を手掛けるコアコンセプト・テクノロジー(以下、CCT)との合弁会社「DTダイナミクス」の設立である。
CCTは3Dデータの形状認識/解析分野で技術的強みを持ち、meviy開発に以前から携わってきた。これまで、同社とミスミの各社でmeviy開発に関わってきたエンジニアらがDTダイナミクスにおいて合流し、一体となってサービス開発に取り組むことになる。
企業間連携の枠を超えて、今回のように合弁会社を設立するに至った理由とは何か。これについて、吉田氏は「ミスミとCCT間にあった組織の壁を取り払い、エンジニアドリブンな組織を作るためだ」と強調する。
DTダイナミクスの資本金は1億円で、出資比率はミスミが66%、CCTが34%となっている。本社所在地は東京都豊島区。主な事業内容は、meviyなどのシステム開発や保守、運用業務としている。当面はmeviyに関する業務に専念する方針だという。
同社の代表取締役会長はミスミ 常務執行役員 兼 ID 企業体企業体社長の吉田光伸氏が、同社 代表取締役社長はミスミ meviy 推進本部 meviy システム開発室ジェネラルマネジャーの道廣隆志氏がそれぞれ務める。また、DTダイナミクス 取締役にはコアコンセプト・テクノロジー 取締役 CTOの田口紀成氏が就任した。
社名の「DT」は「時」の字を分解してできる、「日(Day)」と「寺(Temple)」の頭文字に由来する。加えて、製造現場で削減が望まれる「Down Time(ダウンタイム)」の意味も込められているという。吉田氏は「そもそもミスミは、meviyなどを通じてモノづくり企業の時間創出を行うことを目標として掲げている。こうした内容とも合致する社名を選んだ」と説明する。
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