「実用段階」目指す積層造形技術の出展数が2倍に、IMTS 2022速報レポートIMTS 2022(1/3 ページ)

世界3大工作機械展示会の1つとされる「IMTS 2022」が2022年9月12日(現地時間)、米国シカゴで開幕しました。同展示会の速報レポートをお送りします。

» 2022年09月15日 10時00分 公開
[鹿内健太郎MONOist]

 世界3大工作機械展示会の1つとされる「IMTS(International Manufacturing Technology Show) 2022」が2022年9月12日(現地時間)、米国シカゴで開幕しました。同展示会は隔年開催で、今回で33回目です。ハノーバーメッセUSAとの共同開催も10年目ですが、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響で中止になったため、4年ぶりの開催です。

 IMTS 2022もハノーバーメッセUSAも、会期は共に同月17日までです。IMTS 2022の出展者は2000社以上で、製品/技術出展は1万5000以上を見込んでいます。来場登録者数は7万9000人です(本稿執筆時点)。過去最大の来場登録を記録した「IMTS 2018」の12万9415人には届かない見通しですが、出展者、参加者ともに「より密に会話できる」と肯定的な意見がほとんどで、会場は熱気に包まれています。

アディティブマニュファクチャリング、金属除去、機械加工コンポーネントなど9分野で展示エリアが分かれる[クリックして拡大]

 2022年の主要テーマは、「Digital Manufacturing. Implemented.(デジタルマニュファクチュアリングは実用段階へ)」となっています。米国製造業は長年にわたり労働力の確保と定着、またスキル向上に課題を持っていました。成熟した技術と新技術を総動員し、製造業の労働問題を解決したい。そのような主催者側の思いが、オープニングセレモニーで強調されていたと感じます。

オープニングセレモニーの様子。ステージ中央は主催者の米国製造技術協会(AMT:Association for Manufacturing Technology)代表のドウグラス・ウッド氏、右はドイツメッセCEOのヨッヘン・クックラー氏、左はシカゴ市観光協会CEOのリン・オズモンド氏[クリックして拡大]

 本稿ではIMTS 2022の速報レポートとして、注目すべきポイントやトピックを紹介していきます。

アディティブマニュファクチャリングの展示内容が多様化

 前回開催のIMTS 2018と比べて、3Dプリンティング技術などによる積層造形を手掛けるアディティブマニュファクチャリング(AM)メーカーの出展社数が、110社と2倍に増えました。それに伴い、展示スペースも倍に広がっているように思います。

 ドイツから金属3DプリンタメーカーのEOSが出展して存在感を発揮していますが、全体としてみると出展したAMメーカーの過半数を米国企業が占めています。業界最大手であるストラタシスと3Dシステムズの米国2社が、世界全体のAM市場の約7割を占めているといるので、この辺りは納得感があります。

 これまでAMメーカーによる展示は、新製品の試作デモや蛇口などの建築材を置くなどが中心で、限定的な内容にとどまる印象がありました。しかし今回の出展デモンストレーションでは、ベアリングや軸受け、治工具など幅広いラインアップをそろえるようになり、量産におけるAMの活用事例も豊富に紹介されています。

 製造業が手掛ける全生産をAMで置き換えることは現実的ではありません。しかし、活用の仕方を工夫すれば、量産開始までのリードタイム短縮やコスト低下、廃棄物削減などの効果が見込めます。IMTS出展企業全体で見ても、これまで重視されてきたデジタルツインや協調ロボット、簡易プログラミング、他社製品との統合容易性から、AMや3Dスキャナーへと訴求点の軸足が移行しつつある印象です。ちなみに、AMや3Dプリンタに特化した見本市はフランクフルト市で開催される「Formnext」や米国デトロイトの「RAPID + TCT」など世界各地で開催されているため、こちらも動向を追っていきたいと思います。

ストラタシスは、主要顧客のOEMからティア1サプライヤー(金型部品)でも採用が進む[クリックして拡大]
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