LANケーブルから直接パケットを取得するワイヤタッピングプローブBlack Hatでハードウェアハック!(1)(2/3 ページ)

» 2022年08月31日 07時00分 公開
[今岡通博MONOist]

プローブ

 図2は、LANケーブルから直接スニッフィングを行うためのプローブです。片方の端にRJ-45コネクター、もう片方に2つのワニ口クリップ(ミノムシクリップ)が付いています。その間にツイストペアケーブルが接続されています。ストライプの電線がプラスなので赤いクリップを、単色はマイナスなので黒いクリップを接続します。このプローブを作るには、RJ-45専用の圧着工具が必要です。いわゆる「かしめ」工具ですね。

図2 図2 プローブ[クリックで拡大]

RJ-45

 図3は、RJ-45コネクターをツメ(ラッチ)がある裏側の方向から見ています。端子は上側から1番〜8番で、3番の端子にストライプの電線を、6番の端子に単色の電線を接続します。

図3 図3 RJ-45コネクターの端子[クリックで拡大]

カット

 ターゲットが通信に用いていることを想定した図4のケーブルを、縦に5cmほどカットします。長くカットすると作業が楽になりますが、後でターゲットに発見される可能性があります。

図4 図4 ケーブルをカット[クリックで拡大]

ツイストペアケーブルの取り出し

 図4のケーブルをカットした箇所から、オレンジ単色とオレンジのストライプの電線を取り出します(図5)。なお、逆方向のパケットを取得したい場合は、緑単色と緑のストライプの電線を取り出します。クリップを接続するために電線の被覆(シース)を剥がしますが、少し離れたところで外すのがよいでしょう。後でケーブルに戻すときに接触しないようにするためです。この作業は外科医師が行う手術に似た集中が必要かもしれません。

図5 図5 ツイストペアケーブルの取り出し[クリックで拡大]

タッピング

 プローブのクリップを、被覆を剥がした電線にタップします(図6)。赤いクリップはオレンジのストライプの電線に、黒いクリップはオレンジ単色の電線にタップします。この時点まで電線同士が電気的に接触していなければ、ターゲットの通信が途絶えることはなく、ワイヤタッピングに気付くことはありません。

図6 図6 プローブによるタッピング[クリックで拡大]

後始末

 細工したケーブルを元の状態に戻します(図7)。ターゲットがこのスリットに気付かずに同じケーブルを使っていたとすれば、次回もプローブをタップするだけでスニッフィングが可能となります。

図7 図7 後始末

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