日本の製造業における2010年以降のIT投資額の推移をみると、有形(情報通信機器)資産と無形(ソフトウェア)資産のいずれも横ばいとなっており、DXの重要性が広く認識されるようになる中でも投資額は増加していない(図9)。
他方、経営者がIT投資によって解決したい課題の内訳をみると、これまでは「今後の重点課題」だった「働き方改革(ニューノーマル、テレワーク)」や「社内コミュニケーション強化」が「取り組み中の課題」として回答される割合が増加し、新たに「ビジネスモデルの変革」を「今後の重点課題」とする割合が増えた。DXの進展に伴って、IT投資の目的が変化していることがうかがえる(図10)。
製造事業者における設備投資の実態を把握するための調査によれば、IT投資を実施する企業の割合は約5割で、業種別にみると、一般機械、輸送用機械、化学工業が多い(図11)。また、具体的なIT投資の対象については、「生産管理」が最も多く、次いで「全社的・部門横断的なシステム」の割合が高い(図12)。
今後3年間の研究開発投資とIT投資の見通しについては、前年度の同様の調査と比較すると、研究開発投資とIT投資のいずれも「増加」や「やや増加」とする割合が増加している(図13、14)。資本金別に比較すると、資本金が高いほど、研究開発投資とIT投資いずれも「増加」および「やや増加」の割合が高い傾向にある(図15、16)
一方、投資計画が減少する要因については、研究開発投資、IT投資ともに「事業環境など先行き不透明であるため」が最も多くなっている(図17、18)。
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