NECは、衛星SARとAIを用いて橋の異常なたわみを高精度に検知し、橋の崩落につながる重大損傷を発見する技術を開発した。複数の橋に対して、目視では発見が難しい、わずかなたわみを遠隔からまとめて検知できる。
NECは2022年7月6日、衛星SARとAI(人工知能)を用いて橋の異常なたわみを高精度に検知し、橋の崩落につながる重大損傷を発見する技術を開発したと発表した。
同技術では、NEC独自のAIを用いてリモートセンシングで得た変位データを解析し、橋の変位予測モデルを作成する。平常時の状態を学習し、予測から大きく外れた変位が発生した場合、異常なたわみがあると認識する。
橋の長手方向の位置によって異なる変位値をまとめて取り扱えるため、橋全体における異常なたわみの閾値を容易に設定できる。また、複数の橋の、目視では発見が難しいわずかなたわみを遠隔からまとめて検知可能で、橋の点検業務を効率化する。
同社は、2021年10月3日に崩落した、和歌山県の紀の川にかかる六十谷(むそた)水管橋に同技術を適用した。同橋の崩落前2年間の衛星SAR画像を用いて、変位データを評価したところ、崩落の1年前から崩落箇所に他径間と比べて約1.5倍の変位が継続して生じていることが判明した。
今後は、同技術のさらなる開発を進め、2025年度の製品化を目指す。また、橋を含めたインフラ施設管理全般のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。
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