EVのモデリングを「ミニ四駆」で考える〜構成要素の原理を捉えてシンプルに表現〜1Dモデリングの勘所(9)(3/4 ページ)

» 2022年07月19日 07時00分 公開

ギアのモデリング

 ギアの機能は、【1】運動、力(トルク)を伝える、【2】力(トルク)を増幅する、【3】減増速(速度調整)するである。ミニ四駆の場合は、モーターのトルクを車輪に伝えるのがギアである。車輪を駆動するには大きなトルクを必要とするため、モーターの出力ギアの歯数より、駆動系の入力ギアの歯数を大きくしている。

 例えば、モーター出力軸のギアの歯数を「10」、駆動系の入力ギアの歯数を「50」とすると、モータートルクの5倍のトルクを駆動系に伝えることができる。ただし、回転数は5分の1になる。このようなギアを「減速機」と呼ぶ。ここで、入力ギアの歯数と出力ギアの歯数の比(50/10=5)を「ギア比」という。ちなみに、風車では回転数を増やすためにギアを使用しており、この場合は「増速機」と呼ぶ。

 今、ギアトルクをTg、ギア比をGr、ギア効率をηg、ギア回転数をωgとすると、

式7 式7

となる。一般に、ギアは複数のギアで構成される。ここで、ギアの枚数をnとすると、

式8 式8
式9 式9

となる。従って、ギアの枚数が増えると、一般的にギア効率は低下する。以上を図示すると図8となる。

ギアのモデリング 図8 ギアのモデリング[クリックで拡大]

走行系のモデリング

 モーターのトルクと回転数は、伝達系(軸、ギア)を介してタイヤのけん引力Ft、車体の速度vに変換される。ここで、タイヤの回転半径をrとすると、

式10 式10

となる。ミニ四駆が一定速度vで平らなところを走行している場合には、図9の上図に示すように、けん引力Ftは転がり抵抗Frと空気抵抗Fwの和と釣り合っている。今、ミニ四駆の質量をm、転がり抵抗をμr、重力加速度をg、空気抵抗係数をCd、前面投影面積をA、空気密度をρとすると、

式11 式11

となる。さらに、図9の下図に示すように、加減速度aで、かつ路面勾配θの坂を昇降している場合には、

走行系のモデリング 図9 走行系のモデリング[クリックで拡大]
式12 式12

となる。

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