こうした課題に対してグリッドは「市場見合い」という考え方の導入と、「デジタルツイン AI最適化技術」を活用することで問題解決を図った。
市場見合いは電力の市場価格を考慮して、利益の最大化を目指す考え方だ。これに対置される考え方が「需要見合い」で、燃料費や発電の起動/停止にかかるコストをもっとも低減することを目的とする。
グリッド コンサルティング部 コンサルティンググループリーダーの梅田龍介氏は「市場見合いの場合、ある条件下で発電機同士の発電量を分けて考えられるようになる。発電機全てを合計した発電目標を基に、『どの発電機の出力を上げて、どの発電機は下げるのか』と考える必要がなくなる。このため計画作成に要する計算速度が向上する。電力需要を超過した分の電力量は、市場で売却すればよいと考える」と説明した。
また今回の電力需給計画立案システムにおいて、梅田氏は「予測は外れ得るという前提に立ち、上振れや下振れを考慮した複数のシナリオを立てるようにしている。複数シナリオに対して複数の発電計画を立案し、その中で最も予測のぶれ幅が少なく済む、『ロバストな計画』を用意する」といった工夫点を取り入れたと語った。これに加えて、複数の問題に対応するためにアルゴリズムを組み合わせることで、電力市場価格の予想から発電計画の意思決定支援まで、一気通貫で実行できるようにしているという。
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