ジャパンディスプレイ(JDI)は、マスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式による有機EL「eLEAP」の量産技術を確立した。従来品より発光領域とピーク輝度を2倍、寿命を3倍向上し、低消費電力化が可能になる。
ジャパンディスプレイ(JDI)は2022年5月13日、マスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式による有機EL(OELD)「eLEAP」の量産技術を確立したと発表した。これまでのOLEDディスプレイより優れた特性を備え、今後の需要拡大が期待される。
OLEDディスプレイの量産には、ファインメタルマスク(FMM)を用いた有機材料の蒸着方式が広く採用されている。一方、eLEAPはFMMを使用せず、マスクレスで有機材料を基板上に蒸着させ、フォトリソ方式でOLED画素を生成する。
eLEAPの発光領域は、FMM方式によるOLEDとの比較で、2倍以上の60%(精細度300ppi相当)まで向上できる。JDIが持つバックプレーン技術(HMO技術)と組み合わせることで、OLEDディスプレイよりピーク輝度が2倍以上、寿命が3倍以上向上する。これにより、低消費電力化が可能になる。
また、FMM方式では、メタルマスク使用による制約から困難だった異形状デザインや800ppiを超える高精細化、ディスプレイサイズの大型化にも対応。第8世代(約2200×2500mm)以上のガラス基板サイズでの生産も可能になる。
FMM方式では大量の有機材料廃棄ロスも発生していたが、eLEAPはFMMを使用しないため、有機材料の使用量とCO2排出量を大幅に削減でき、環境負荷やランニングコストの低減にもつながる。
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