ジャパンディスプレイが白山工場をシャープに譲渡、約412億円で:製造マネジメントニュース
経営再建中のジャパンディスプレイは2020年8月28日、白山工場(石川県白山市)の土地、建物、付帯設備をシャープに譲渡することを決め、最終契約を締結したことを発表した。
経営再建中のジャパンディスプレイは2020年8月28日、白山工場(石川県白山市)の土地、建物、付帯設備をシャープに譲渡することを決め、最終契約を締結したことを発表した。
ジャパンディスプレイ(JDI)では経営再建策の一環として、2019年7月に白山工場の生産を停止し譲渡の可能性を検討してきた。その結果、以下の3つの理由で譲渡を行うことを決め、相手先としてシャープを選んだという。
- 一時稼働停止中にも生じている生産装置・設備の維持管理費用や固定資産税などの費用の削減が行え、業績改善につながること
- 同工場建設の際に受け取った顧客からの前受け金の返済を可能とし、キャッシュフローの改善につながること
- 不稼働資産および負債削減によるバランスシートの改善が期待でき、自社で同工場を維持するよりも企業価値向上につながる
シャープに譲渡するのは白山工場の土地と建物、付帯設備で譲渡金額は3億9000万ドル(約412億円)だという。帳簿価額は500億円であるため、差額については特別損失として計上する形となる。物件の引き渡し日は2020年9〜10月を予定している。
JDIでは今後、白山工場の約2倍の生産能力(第6世代)を持ち、OLED(有機EL)ディスプレイの生産拠点でもある茂原工場(千葉県茂原市)を中心に高付加価値製品の製造を進めていく方針は「変わらない」とコメントしている。
また、JDIでは2020年3月31日に特定顧客に向け白山工場で使用していた生産装置の一部を譲渡する発表を行っていたが、同顧客に向けて追加で生産設備を譲渡する。追加譲渡額は8500万ドル(約90億円)となる。ジャパンディスプレイは特定顧客について「開示しない」としている。
なお、シャープへの譲渡およびJDIの特定顧客への設備譲渡に伴う、営業外収益および特別利益が約268億円生まれる見込み。一方で、特別損失が最大で約116億円生じる見込みだとしている。
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