日立 執行役専務 パワーグリッドビジネスユニットCEO兼日立エナジー CEOのクラウディオ・ファキン氏は日立エナジーの今後の事業戦略を紹介した。
日立エナジー(旧日立ABBパワーグリッド)は、2020年の日立によるABBの送配電事業買収に伴って誕生した。グリッドオートメーションにおいて世界の大手電力会社250社のうち50%をサポートし、高圧直流送電(HVDC)では世界1位の250GWの導入実績を持つ。2019〜2021年の年平均成長率(CAGR)は10%で、2021年度は140億ドルの受注残を抱えている。ABB時代からパワーグリッド事業を率いてきたファキン氏は「これらのインストールベースが重要となる。今後の成長と差別化を図るため、さまざまな機会とLumadaエコシステムを活用していく」と語る。
「日立エナジー2030」における成長戦略にも触れ、引き続きパワーグリッドの中核事業を強化すると共に、デジタルとサービスを倍増させ、エネルギーシステムのグリッドエッジ(電力系統の末端)を拡大する。そのためにイノベーションを進め、日立とのシナジーを高めて、パートナーシップ形成およびM&Aで成長を加速させるとした。2021年度の売上は96億ドルで、2024年度までのCAGRは4〜6%と2024中計から上方修正した。Adjusted EBITDA率は2021年度の6.1%を2024年度までに10%に高める。
日立は2021年にフランスの電機、防衛大手タレスの鉄道信号事業を買収することを発表している。日立 執行役常務兼鉄道ビジネスユニットCEO兼日立レール ダイレクターのアンドリュー・バー氏は「現在、当局による承認作業中だ。ドイツ、カナダ、シンガポールなどの新たな重要市場を獲得できる点で非常に補完的であり、交通ソリューションにおけるグローバルリーダーとして事業拡大の有望なステップになる」と話す。
鉄道セクターの2021年度の売上は6283億円でAdjusted EBITDA率は4.6%、売上の構成は鉄道関連が58%、信号、制御関連が42%だった。買収完了により信号、制御関連の比率を60%まで高め、2024年度は売上9673億円、Adjusted EBITDA率10%の達成を掲げる。
「2021年度は新型コロナウイルスの影響による厳しい市況にもかかわらず、高い売上と堅調な受注を達成した。2022年度中に完了予定のタレスの鉄道信号事業買収により、利益率の高い信号、制御事業に移管し、収益構造を一変させる。2024年度までに過去最大の業績達成を目指す」(バー氏)。
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