日立製作所(以下、日立)は2022年6月13日、オンラインで開催した投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2022」において、新たに発足した「グリーンエナジー&モビリティセクター」の事業戦略を説明した。
日立製作所(以下、日立)は2022年6月13日、オンラインで開催した投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2022」において、新たに発足した「グリーンエナジー&モビリティセクター」の事業戦略を説明した。
2022年に組織されたばかりの同セクターはパワーグリッド、エネルギー、原子力、鉄道の4つのビジネスユニットで構成され、日立 執行役社長兼CEOの小島啓二氏がグリーンエナジー&モビリティ戦略企画本部長として直接率いている。その狙いを小島氏は「デジタル技術を活用したサービス事業比率の向上による収益性向上と、すでに獲得した日立エナジーや買収を進めているタレスの鉄道信号事業(GTS)など大型資産の統合を全社的な視点で進めるという大きな2つの挑戦があるため、私がこのセクターをリードすることにした」と話す。
2021年度の同セクターの売上高は日立の全社売上高の18%を占める2兆510億円で、構成比はパワーグリッド54%、エネルギー9%、原子力7%、鉄道30%となっている。また、海外の売上比率が80%に上るという。日立エナジー統合の一時費用支出や部材価格の高騰などもあるが、2022年度の売上は事業の堅調な推移から2兆1700億円と、前期比で増収増益を見込む。2024中期経営計画の最終年度となる2024年度には売上2兆6000億円、Adjusted EBITDA率で10%(2021年度4.5%)を目指す。
「気候変動、ウクライナ危機などの要因から、エネルギー変革と電動化に向けた投資はむしろ拡大している。EV(電気自動車)インフラやマイクログリッドのような高成長分野に加え、脱炭素化実現のためのサービスのような新たな事業機会も生まれている。われわれにとっては強い追い風になっている」(小島氏)
同セクターの事業では長期にわたる大型プロジェクトが多い上、世界中に顧客を抱えている。「デジタル技術を活用して、このインストールベースに対するサービス事業を拡大することが高収益化の鍵になる。Lumadaを使ってIT、OT、プロダクトを掛け合わせたサービスをOne日立として展開する」(小島氏)。日立全体では2024年度までに1億tのCO2削減に取り組むが、その内の80%以上にあたる8900万tが同セクターによるものとなる。また、すでに日立エナジーで運用しているデジタル技術を活用したグローバルオペレーションをグループ全体に拡大する。
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