同社のブースでひときわ目を引いていたのが、藻類の光合成を高効率、大規模に行いCO2吸収を促進するフォトバイオリアクターの試作システムだ。
これは、地上の植物の10倍以上効率的なCO2吸収を行う特長を持つ藻類のCO2吸収効率をさらに高めるプロジェクトで、同時に、代謝の過程で藻類が生産する脂肪酸や色素、界面活性剤などを、医薬品、食品、プラスチック、化粧品などの原材料としての活用することを目指しており、カーボンニュートラルや循環経済への貢献につなげる。
このバイオリアクターでは、培養器内の藻類の細胞を、上部に伸びる細い管に吸い上げて大気中のCO2を取り込み、また培養器に戻すという動作を行いながら高効率かつ省資源で藻類の培養を行う。pHセンサーなどの各種センサーや制御技術、自動化技術によって、「藻類の吸収効率を地上植物の100倍まで高めることができる」としている。
バイオリアクターの大きな課題は、バイオマスの量を正確に把握することだが、同社は、ドイツの量子スタートアップQ.ANTの量子テクノロジーセンサーを利用しこの課題の解決を行う考えだ。同センサーでは、藻類の細胞1つ1つを光学的に分析し、その量や成長速度を正確に把握できる。さらに、人工知能(AI)を用いて細胞が「元気かどうか」なども把握が可能だという。
独自開発のソフトウェアによって、遠隔地からでも24時間体制で手動によるパラメータ変更や評価ができるといい、「ユーザーは、バイオリアクターの変化にいつでも対応し、最適なタイミングで製品の収穫を開始することができる」としている。
Festoは例年ハノーバーメッセにおいて、生体の動作を模倣して新たなロボットの将来像を描く教育プロジェクト「The Bionic Learning Network」の成果を披露している。今回は新製品の公開はなかったものの、会場では空飛ぶペンギンやクラゲ、鳥型のロボットなどの実演が行われ、来場者の注目を集めていた。
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