サステナビリティに向けた取り組みも強化する。パナソニックグループでは2022年1月に環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」を発表しており、その一環として2030年度に全事業会社のCO2排出の実質ゼロ化を目指しているが、パナソニック インダストリーでも工場を含む全拠点でのCO2排出量実質ゼロ化を推進する。さらに資源循環型のモノづくりを推進するために、工場廃棄物のリサイクル率99%以上を目指す。また、製品の小型化、軽量化、低損失化、長寿命化を進めることで、製品ライフサイクルとしての環境負荷低減を目指す。
パナソニック インダストリーでは、全世界に55の製造拠点を持つが、その内17拠点で太陽光発電を導入。また生産設備の稼働ロスや歩留まり改善を進める他、環境影響の少ない設備の導入や置き換えを進めることで省エネ化を推進する。これらを推進することで、まず2023年度に中国で全11拠点のCO2排出量実質ゼロ化を実現する。加えて、2025年度までに欧州と北米の5拠点、2027年度までに東南アジアの13拠点、2030年度に日本と台湾の26拠点を順次CO2排出量実質ゼロ化していく計画である。
達成時期に差があるのは主に2つの要因がある。1つは、拠点が担う製造工程で必要とされる電力に違いがあるということだ。もう1つは、創エネや省エネだけでは賄いきれない電力を再生可能エネルギーで調達する必要があるが、国や地域によってその調達力に差があるという状況があるためだ。
一般的な製造業に比べて、材料などのプロセス製造領域の製造工程を抱えているとCO2排出量を低減することは難しいが「製造工程で一番電力を必要とするのは材料プロセス系の前工程だ。その前工程部分の製造拠点は日本に数多くあり、これがビジネス的な競争力の源泉になっている。簡単なのは電力が必要な工程を再生可能エネルギーの調達が容易な国に出すことだが、それではビジネスとしての強みが失われ、本末転倒になる。これらの競争力の源泉となっている工程のCO2排出量実質ゼロ化はすぐには難しく、まずは工場内での創エネや省エネを進めつつ、外部調達の状況などを見極めて体制を構築していく」と坂本氏は述べている。
また、現在のCO2排出量実質ゼロ化の計画では、再生可能エネルギーの外部調達による部分も非常に大きくなるが「クレジットによる取引で行うのは1つの方法だが、それでよいのかというのは考えていかなければならない。解として考えているのは、水素の活用だ。水素についてのさまざまな研究開発はパナソニックグループ全体で進めている。時間軸は2030年度に達成できるものではないかもしれないが、パナソニックグループだけでなく大学や業界として取り組んでいく」と語っている。
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