コア3事業を2030年までに2.5倍の9000億円に、パナソニックの描くデバイス戦略製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニック インダストリー社は2021年11月19日、2022年4月から持ち株会社制への移行を控えた新体制の方向性について、同社社長の坂本真治氏による社長懇談会を開催し、報道陣の合同取材に応じた。

» 2021年11月22日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 パナソニック インダストリー社は2021年11月19日、2022年4月から持ち株会社制への移行を控えた新体制の方向性について、同社社長の坂本真治氏による社長懇談会を開催し、報道陣の合同取材に応じた。

車載、産業領域に特化することで成長力強化

 パナソニックは2022年4月から持ち株会社制に移行することが決まっているが、2021年10月1日からこの新体制に合わせた仮想的な組織に移行している。電子部品などデバイス製品を扱うパナソニック インダストリー社は、従来の体制におけるパナソニック インダストリアルソリューションズ社が担っていた事業体を基本的には引き継いでいるが、1次電池事業、円筒形リチウムイオン電池事業については切り出して、パナソニック エナジー社の管轄となった。

photo パナソニック インダストリー社社長 坂本真治氏

 新生パナソニック インダストリー社の売り上げ規模は約1兆1000億円でパナソニックグループ全体の約15%を占める。従業員数は約4万5000人で国内が1万3000人、海外が3万2000人という体制だ。拠点数は国内外で78拠点を持つ。

 事業の種類は大きく分けると2つの種類があり、電子材料や電子デバイスを提供する事業と、これらを組み込んだモジュールシステムの事業がある。「モジュールやシステムも単純に組み立てて提供するというだけでは差別化はできない。独自の材料、プロセス技術で強みを発揮できる領域に絞り込み、これらを展開するという考えだ」と坂本氏は述べている。

photo パナソニック インダストリー社の事業構成[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー社

 パナソニック インダストリー社では、これらの考えの下、ここ数年は強さを発揮できない事業の整理などを進めてきた。注力事業としては、成長や収益ポテンシャルの高い、FA商品(産業用モーター、センサー)、電子材料(基板材料、機能性材料)、EVリレーおよび遮断ユニット、受動部品(機能性コンデンサー)などを位置付け、投資を強化してきた。

 一方で、コモディティ化した光ピックアップやオプトデバイス、液晶、一般電源や、占有率が低かった半導体や回路基板、SAWデバイスなどの領域については、撤退や終息、譲渡などを行った。これらのポートフォリオの組み換えにより調整後営業利益率が7%向上した他、固定費も3割削減につながった。また、注力事業の売上高構成比率は従来5割だったのが、現在は8割にまで高まっているという。

 坂本氏は「古くは『良い品質の製品を作るには良い部品から』を掲げ、パナソニック内の完成品で活用する電子部品を提供することが中心となってきた。ただ、今ではグループ向けは10%以下となり、ほとんどがグループ外に向けたものになっている。同時に導入業種も従来はコンシューマー製品やICT関連製品向けが中心だったが、現在は車載や産業向けにシフトしている。注力領域における市場の平均成長率は2〜3%程度だが、パナソニックでは5%成長を続けている」と事業構造改革の成果について訴える。

photo 構造改革の成果[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー社
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