特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
インタビュー
» 2022年06月09日 08時00分 公開

秒間2万点のデータを遅延なく可視化、アプトポッドは5G時代のIoT通信見据える製造業IoT(1/2 ページ)

IoTデバイスを通じて動画や音声など多種多様な通信データをリアルタイムに取得したいというニーズの高まりとともに、データ通信量の大容量化も進んでいる。この中でリアルタイムなデータ通信を実現するIoT基盤を用意するかが課題になるが、アプトポッド 代表取締役は「当社は4G時代から備えてきた」と応える自信を見せる。

[池谷翼,MONOist]

 家電、自動車、ロボットなど、さまざまな領域でIoT(モノのインターネット)デバイスの実装が進んでいる。工場内の設備機器などを対象とした、産業領域でのIoT普及も目覚ましく進む。この中で現在、IoTデバイスを通じて機器の状態変化だけでなく、動画や音声など多種多様な通信データをリアルタイムに取得するニーズが高まっており、また、これに伴う形でデータ通信量の大容量化も進んでいる。

 5Gの本格的な普及が進めば、こうした傾向はさらに加速するだろう。そこでIoT利用者の課題となり得るのが、リアルタイムなデータ通信を実現するIoT基盤をいかにして用意するかという点だ。アプトポッド 代表取締役の坂元淳一氏は「当社は4G時代から(ニーズに応える)備えを進めてきた」と、自信を見せる。

高速低遅延かつ高いリアルタイム性、双方向接続にも対応

 アプトポッドでは現在、高速産業IoTプラットフォーム「intdash」、IoTデータなどの可視化用ダッシュボード「Visual M2M Data Visualizer」、エッジコンピューティングシステムの「EDGEPLANT」の3種類をメインプロダクトとして展開している。

 intdashは大量のセンサー群からデータを吸い上げる、いわゆる「Massive IoT」ではなく、特定のデバイスからクリティカルなストリーミングデータを収集、可視化する領域で強みを持つ。高速低遅延で、機械やロボットの遠隔制御に適用できる双方向接続にも対応する。双方向接続は独自のデバイスコネクターを活用し、CANやJ1939などエッジデバイスの制御用通信プロトコルに合わせた通信を行うことで可能になった。また、映像や音声、温度データなど複数種類のデータを1つのストリーミングデータで扱える、マルチモーダル性を持つ点も特徴だ。

intdashの概要[クリックして拡大] 出所:アプトポッド

 データストリーミングについては、独自のプロトコル「intdash Streaming Control Protocol(iSCP)」を採用したことで、高いリアルタイム性とデータ欠損防止の仕組みを同時に実現した。iSCPは通信データのセクションにある程度柔軟性を持たせた上で、ユニット内に音声や動画などさまざまなバイナリデータを格納し、かつ、セクション単位でタイムスタンプ情報などを付与する。これらの工夫によって、リアルタイムでの通信時に、上り/下りの両方で早いレスポンスでの処理を可能にした。

コア技術である「intdash Streaming Control Protocol」の概要[クリックして拡大] 出所:アプトポッド
アプトポッド 代表取締役の坂元淳一氏

 坂元氏は「IoT通信におけるタイムスタンプの打刻においては、MQTT (Message Queueing Telemetry Transport )などの通信プロトコルが有名だが、リアルタイム性やマルチモーダル性の観点から見ると問題がある。MQTTはメッセージ単位でヘッダ情報が付与されるので、データ全体のボリューム感が膨らむ上、ソフトウェアで処理する際のオーバーヘッドも生じかねない。つまり、パフォーマンスを出しづらい状況になる。またメッセージ間の因果/相関関係も管理されていないため、各IoTデバイスでばらばらに打刻されたタイムスタンプの管理がしづらい。メッセージ欠落時のリカバリーも難しかった」と指摘する。iSCPはこれらの課題の克服を目指して開発されたプロトコルである。

 一方、Visual M2M Data VisualizerはIoTデバイス側から取得したデータを、グラフや映像など表示方法や形式を自由に設定して可視化できるツールだ。表示構成はノンプログラミングで設定できる。ストリーミングデータだけでなく、サーバに蓄積されたデータにも容易にアクセス、解析できるため、データ分析ツールとしての用途でも使えるという。

「Visual M2M Data Visualizer」の概要[クリックして拡大] 出所:アプトポッド

 EDGEPLANTはNVIDIAの組み込みAI(人工知能)ボード「Jetson TX2」を組み込んだエッジコンピュータである。車載向けの活用も想定しており、Eマークを取得している他、動作温度範囲が幅広い。SIMモジュールやGPSモジュールを搭載しており、IoTゲートウェイとして活用できる。カメラシステムとの連携で映像検知などの処理も可能だ。

「EDGEPLANT」の概要[クリックして拡大] 出所:アプトポッド

 この他、アプトポッドではエッジデバイス側でのプラグイン開発のため、またサーバサイド側のデータを可視化するためのSDK(ソフトウェア開発キット)の他、顧客に合わせたワークフローシステムなどミドルウェアの追加開発なども行っている。

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