新エネルギー・産業技術総合開発機構は、「自律運航AI」を搭載したAIドローンによる、荷物配送の実証実験を実施した。人を検知して自動的に飛行の停止や再開ができるほか、安全な飛行ルートを自動作成できた。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2022年5月18日、「自律運航AI」を搭載したAI(人工知能)ドローンによる、荷物配送の実証実験を実施したと発表した。AIドローンは、飛行中に人を検知して自動的に飛行の停止と再開ができるほか、人や建物との衝突リスクの低いルートを自動で生成できる。
今回の実証実験は、政府が同年12月から運用を予定している「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4)」を念頭に置いたもので、「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」の一環だ。NEDOの他に、東京大学、イームズロボティクス、佐川急便らも参加している。
同年5月11日の飛行試験では、人や車両などの物体を認識して安全を確保する自律運航AIを実装した、イームズロボティクスの「UAV-E6106FLMP」ドローンを使用。片道約7分、約1.5kmの距離を往復させ、AI機能の有効性を確認した。
往路では、荷物を搭載した状態で、AIが人物を検知して自動的に機体を一度停止し、人がいなくなることを確認してから自動的に飛行を再開できた。復路では、荷物の無い状態で、地理空間情報から住宅など衝突リスクの高いエリアを判別し、自動的に最適な飛行ルートを生成した。飛行制御には、補助者あり目視外自動飛行とマニュアル飛行を利用した。
NEDOらは、今後さらに、機器故障による異常を検知して判断する「故障診断AI技術」、機器故障時に安全に着陸する「緊急着陸AI技術」など、飛行技術の研究開発と実績を重ね、物流現場におけるレベル4のAIドローンの実用化を目指す。
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