この記事は、2022年5月24日発行の「製造マネジメント メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
GHG(温室効果ガス)プロトコルで定められたスコープ3のCO2排出量削減にどのように挑むのか。現在、この問いが国内外の製造業に投げかけられています。自社からの直接排出(スコープ1)や、他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出(スコープ2)と異なり、スコープ3はサプライチェーン全体のCO2排出、つまり、取引先のCO2排出量も気に掛けなくてはなりません。
周知の通り、製造業は1社に対して多くのサプライヤーや下請け企業がひも付く形で成立している産業です。大企業となればサプライチェーン全体に累計で数万社が関与している、ということも珍しくないでしょう。例えば、世界的な電機メーカーであるシーメンスは約145カ国で、6万5000社のサプライヤーを抱えています。同社はスコープ3のCO2排出量を2050年までにゼロ化すると宣言していますが、膨大なサプライヤーまで含め、CO2排出を全て削減することが本当に可能なのでしょうか。
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