デンソーは2022年4月22日、2035年に「完全なカーボンニュートラル化」を目指す中で現在取り組んでいるモノづくりの省エネ化についての報道向け説明会を開催。工場のカーボンニュートラル化に向けた推進体制や具体的な取り組みについて紹介した。本稿では前編として取り組みの全体像、後編では2021年度省エネ大賞を受賞した幸田製作所での取組を紹介する。
デンソーは2022年4月22日、2035年に「完全なカーボンニュートラル化」を目指す中で現在取り組んでいるモノづくりの省エネ化についての報道向け説明会を開催。工場のカーボンニュートラル化に向けた推進体制や具体的な取り組みについて紹介した。本稿では前編として取り組みの全体像、後編では2021年度省エネ大賞を受賞した幸田製作所での取り組みを紹介する。
デンソーグループでは2035年に「完全なカーボンニュートラル化」を目指す目標を掲げている。現在多くの企業で取り組まれているカーボンニュートラル化はカーボンクレジットの活用など、実質的には温室効果ガスを排出していてもそれを取引で相殺する前提で進められているものが多いが、デンソーグループではカーボンクレジットの活用なしに省エネ化や再生エネルギーの自家発電、CO2回収や再生エネルギー購入などの自力での達成を目指していることが特徴だ。
この達成に向けまず2025年までに2012年比でCO2排出量を50%削減することを目指している。「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3つの切り口で取り組みを進めているが、今回は「モノづくり」の領域での省エネへの取り組みについて説明した。
取り組みを進める中で新たにモノづくりカーボンニュートラルの推進体制として、部門を横断したバーチャル組織として「モノづくりカーボンニュートラル総本山」を設立。モノづくりグループ、環境ニュートラルシステム開発部、安全環境推進本部からキーマンを集め、部長・室長クラス10人が中心となり、ほぼ毎週何らかの活動を行っているという。また、モデル工場として安城製作所、広瀬製作所、西尾製作所、デンソー福島の4工場を定め、さまざまな実践を進めている。
モノづくりの省エネルギー化に向けた取り組みとしては、まずファクトリーIoT(モノのインターネット)のフル活用などを組み合わせて生産ロスの無駄を削減する取り組みを進める他、省エネルギー化に貢献する設備や製造方法の開発などを推進。超エコ設備ラインの開発を推進する他、抜本的な材料プロセスの変更などにも取り組んでいる。また、循環型生産供給システムの開発などにも取り組み、現状で約200万トンとしているCO2排出量の大幅削減を推進していく。
デンソー 生産技術部 カーボンニュートラル生産システム開発室 室長の寺井文人氏は「カーボンニュートラル化は重要なテーマだが、経済合理性を持って進めなければ意味がない。その経済面での課題はまだまだ山積みの状況だ。リーンでスリムなエネルギーの会社を目指していく。そのためには社内外で共感しあえる仲間作りを進めていくことが重要だ」と述べている。
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