デンソーは2022年4月22日、2035年に「完全なカーボンニュートラル化」を目指す中で現在取り組んでいるモノづくりの省エネ化についての報道向け説明会を開催。工場のカーボンニュートラル化に向けた推進体制や具体的な取り組みについて紹介した。本稿では前編として取り組みの全体像、後編では2021年度省エネ大賞を受賞した幸田製作所での取り組みを紹介する。
デンソーは2022年4月22日、2035年に「完全なカーボンニュートラル化」を目指す中で現在取り組んでいるモノづくりの省エネ化についての報道向け説明会を開催。工場のカーボンニュートラル化に向けた推進体制や具体的な取り組みについて紹介した。前編では取り組みの全体像について紹介したが、後編では2021年度省エネ大賞を受賞したセミコンダクタ製造2部のICウエハ製造工程における省エネの取り組みについて紹介する。
前編でも紹介した通り、デンソーグループでは2025年のCO2原単位の50%削減を目指しているが、半導体製品の母体となるICウエハを製造し、愛知県刈谷市の本社および、額田郡幸田町の幸田製作所に工場を持つセミコンダクタ製造2部では、2年前倒しし2023年までにCO2原単位50%削減を目指してさまざまな取り組みを進めている。
セミコンダクタ製造2部では、5、6、8インチウエハの製造を行っており、2018年度には年間約63万枚の生産量となっている。365日24時間稼働のクリーンルームなどもあるため、以前から省エネ化に向けたさまざまな取り組みを進めてきたが、新たな取り組みとして目を付けたのが、ウエハ製造で必要になる「蒸気」の削減である。
ウエハの製造工程では、加工の中で純水による洗浄作業が何度も行われているが、その純水の加温などに蒸気が用いられている。「セミコンダクタ製造2部の範囲内では電気由来のCO2排出量が80%以上を占める一方で、蒸気由来のCO2排出量も約2割を占めており、電気とともに蒸気の使用量の削減が求められていた」とデンソー セミコンダクタ製造2部 ウエハ2工場 ウエハ施設保全課 門脇巧輝氏は述べる。
洗浄に用いる純水は25℃だが、10℃前後で保管されているために、蒸気による熱交換器で加温して使用される。蒸気の利用を減らすためには温度差を減らす必要があった。そこで、工場の中で生まれているさまざまな「熱」を利用して純水を加温できないかという発想が生まれたという。具体的には3つの廃熱を利用する取り組みを進め、熱交換器で使用する蒸気エネルギーを2分の1以下にすることを目指した。
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