MONOist まずは大会を振り返っての、率直な感想をお聞かせください。
谷口亘氏(以下、谷口氏) 今回、シミュレーター競技で参加しましたが、物理的な制約の少なさは、普段組み込み開発に関わらない当社のような企業にとってはありがたいな、と感じました。リアル環境で実機を用いた走行テストを行う必要がないためです。しかも、私たちが寝ている間にシミュレーター環境でテストが自動的に完了します。テスト用の走行スクリプトを作成し、Azure上にテストベッドを構築して、何千回も徹底的に検証しました。
MONOist 大会に参加した理由は何でしょうか。
谷口氏 一番の目的は人材教育です。メンバーにモノづくりの楽しさを知ってもらいたいと考えました。保険サービスでのテクノロジー活用と「ロボコン」では、求められる技術が違うように思えるかもしれません。しかし、それは見かけ上の話で、センサーから取得したデータの統計処理や、AI活用など求められる要素技術は共通しています。こうした技術を教科書をなぞって勉強するだけでなく、実際に使いながら、楽しんで学ぶ機会はないかと探していました。その答えの1つがロボコンでした。
MONOist 技術力に課題感があったのでしょうか。
谷口氏 もちろん技術力の向上も大事ですが、それよりも「まず、プログラミングに触れてほしい」といった、もっとプリミティブな話が根底にあります。
金融や保険会社のIT開発はアウトソーシングが中心で、入社研修以外でプログラミングを組んだ経験がないという人も少なくありません。普段の業務では要件定義や、アウトソーシング先から上がってきた設計書のチェックなどしかやらないという人も多い。業務内容も自社の顧客や保険代理店、社内保険業務の事務支援などが中心でした。
しかし、システム開発を依頼する場合でも、自分たちで開発している経験があるかどうかで依頼の仕方が全く異なったものになります。ただ、「自分たちも技術に触れよう」と言うのは簡単ですが、それを実践するのは難しい。その中で、自分が書いたコードの出来がロボットの動作としてはっきり可視化され、かつ、競技として楽しめるロボコンのような環境は貴重だと感じています。
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