なぜ、自社のデジタル化にとどまらず、業界標準化にまで視野を広げているのでしょうか。それはBASFの企業戦略から読み解けます。
ソートリーダーとは、「特定の分野の権威として認められている個人または企業」という意味です。ここには世界最大の総合化学メーカーからサステナビリティ分野の先導者でありたいという、BASFの意思表示が見て取れます。将来を先取りした革新的なアイデアや解決策をいち早く発見し実行したい、数値にコミットしてマーケットの信頼を獲得したい、という思いが感じ取れます。
最後に参考資料として、BASFが考える「優れた企業の3要素」も紹介します。大量データを格納する器を持ち、AIやビッグデータで解析し、顧客体験につなげるというシンプルなものです。グーグルやアマゾンからヒントを得るあたりも、ソートリーダーでありたい姿勢の現れです。
CO2排出量の可視化には各所から収集した、大量のデータが必要になります。この際、「大量データの格納庫は、どれくらい広げるべきか?」と疑問に思う人もいるかも知れません。置かれた職務・職責により意見が分かれる問いですが、以下に筆者の回答を記載します。
例えば、BASFのインターネット顧客接点は、SNSを含めて78チャネルありました(2019年時点)。同社は「複数媒体で取得した顧客情報+α」を1カ所のマーケティングデータ格納庫へ保管しています。1カ所に集約したのは、インターネットで取得した見込顧客や引き合い情報を自社の販売システムへつなげ、営業担当がフォローアップしやすくするためです。
まとめると、BASFの取り組みから国内製造業が学べることは次のようになるでしょう。
皆さまの日頃の活動が企業価値向上につながり、さらには日本全体の脱炭素推進に少しでも役立つ内容だと感じていただければ幸いです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.