厳しい落ち込みを見せたトヨタ、日産と異なるのがホンダだ。1月のグローバル生産台数は、前年同月比2.0%増の35万8702台と8カ月ぶりにプラスへ転じた。国内生産は同2.7%増の5万1084台と3カ月連続で増加した。ただ、これは低迷した前年1月の反動増という側面が大きく、半導体不足の長期化など依然として部品供給難は続いている。
このためホンダも挽回生産の計画を下方修正しており、1月は「フリード」「シビック」「CR-V」などを生産する埼玉製作所で当初計画に比べて1割減とした。2月以降も国内生産は計画比で1割減を見込んでいる。
海外生産は、前年同月比1.9%増の30万7618台と8カ月ぶりにプラスへ転じた。北米では米国工場がオミクロン株の感染拡大により稼働に必要な人員が確保できない事態に発展した。その結果、北米生産は同11.3%減と減産を余儀なくされ、8カ月連続のマイナスとなった。
一方、世界的に部品供給が逼迫している中で、稼働が難しい北米向けの部品を中国などアジアへ展開するといったフレキシブルな対応を行った。これにより中国での増産を可能とし、前年同月比15.1%増と9カ月ぶりにプラスを確保するとともに1月として過去最高を更新した。アジアトータルでも同16.9%増と8カ月ぶりにプラスへ転じた。
スズキの1月のグローバル生産は、前年同月比9.4%減の24万224台と6カ月連続で減少した。減少幅も12月から3.0ポイント悪化した。特に深刻なのが国内生産で、同33.5%減の5万1830台と8カ月連続で減少し、8社で最大の落ち込みとなった。半導体をはじめとした部品の供給不足が響いており、「スペーシア」「ワゴンR」「アルト」「スイフト」「ソリオ」といった主力車種の生産を担う湖西工場と相良工場で稼働停止が相次いだ。
海外生産は、グローバル生産の半数以上を担うインドは前年同月比0.2%増と前年並みを維持し、6カ月ぶりに増加。インド以外の海外生産も同2.7%増とプラスを確保した結果、海外トータルでは同0.6%増の18万8394台と5カ月ぶりにプラスへ転じた。
マツダの1月のグローバル生産台数は、前年同月比6.1%減の10万4439台と7カ月連続で減少したものの、減少幅は12月に比べて5.3ポイント改善した。主力の国内生産は同2.0%減の7万548台と7カ月連続のマイナスだった。減少幅も12月から1.5ポイント悪化した。車種別ではマイナーチェンジした「CX-5」は同22.8%増と伸長したが、「マツダ3」や「CX-30」が2桁%減と振るわなかった。
海外生産は、前年同月比13.6%減の3万3891台と、9カ月連続で減少した。ただ、減少幅は12月から24.1ポイントと大幅に改善した。中国は「マツダ6」や「CX-4」の販売低迷の他、春節休暇で稼働を停止したこともあり、同26.2%減と2カ月連続のマイナス。タイはピックアップトラック「BT-50」の生産終了の影響などで同0.2%減。
一方、北米は、メキシコでCX-30が増加し、前年同月比1.3%増と6カ月ぶりにプラスへ転じた。さらに1月から新たに米国工場の操業を開始。新型車「CX-50」が純増となり、北米トータルでは同2.3%増となった。
三菱自動車の1月のグローバル生産台数は、前年同月比0.4%減の9万344台と10カ月ぶりに減少へ転じた。要因は国内生産で、主力モデルの「eKスペース」および日産自動車向けにOEM供給する「ルークス」でエアバッグの不具合が発覚し、12月から生産を停止。その結果、国内生産は同12.9%減の3万3498台と2カ月連続で減少した。フルモデルチェンジした新型「アウトランダー」は国内外で受注が好調で、輸出も同39.4%増と伸長したが、eKスペースの落ち込みをカバーするには至らなかった。
海外生産は、前年同月比8.7%増の5万6846台と11カ月連続のプラス。インドネシアが同30.9%増と好調を維持していることに加えて、主力のタイも同15.2%増と伸長した。一方、中国は同44.1%減と低迷。中国に生産拠点を構える5社で最大の減少幅となった。
SUBARU(スバル)の1月のグローバル生産台数は、前年同月比1.7%増の6万4690台と7カ月ぶりに前年実績を上回った。このうち国内生産は、同5.5%増の4万128台と7カ月ぶりにプラスへ転じた。部品の供給不足による影響はあったものの、前年が半導体不足で大幅な減産を強いられた反動が表れた。一方、唯一の海外拠点である米国生産は同4.0%減の2万4562台と2カ月連続のマイナス。受注は好調だが、国内以上に半導体不足の影響が大きく出ており、車両供給が足りない状況が続いている。
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