バイオPEは、サトウキビから砂糖を精製する際の残液(廃糖蜜)を原料とする植物由来の非生分解性樹脂で、出発原料や製造工程が異なるだけで石油由来のポリエチレン(PE)と近い特性を備えており、主にレジ袋や包装容器などで利用されている。一方、PPと物性を比較した場合、バイオPEの強度(弾性率、衝撃強度)はPPの半分程度と弱く、単にバイオPEをCeFに混ぜ込んだだけでは強度が低く、そのままの状態では展開用途が限られてしまうという課題があった。
同社はこの課題を克服するため、適正な添加剤の選定と配合、繊維形状の調整を含む材料設計などによって、樹脂にバイオPEを採用しながらも、PPを用いた55%高濃度CeF成形材料のkinariと同等レベルの強度を引き出すことに成功し、バイオマス度90%以上のCeF成形材料を開発することができたという。
また、開発したバイオマス度90%以上の成形材料は、従来のkinariと同じく着色自由度の高い乳白色の樹脂ペレット化にも成功し、成形時の温度コントロールによって褐色化させて木質感を再現するといったデザイン性の高さも、kinariの特性をそのまま引き継いでいる。浜辺氏は「今後、飲料/食品容器などの日用品、家電の筐体や車載機構部品といった、幅広い製品/部品に対して、今回開発したバイオマス度90%以上のCeF成形材料を展開していきたい」との考えを示す。
さらに、同社は今後の開発の方向性として「生分解性樹脂への置き換え」も掲げており、2024年をターゲットに開発を進めるとしている。また、バイオマス度100%の実現に関して、浜辺氏は「バイオPEを植物由来の生分解性樹脂であるPLAなどに置き換え、添加剤なし、あるいは植物由来の添加剤を用いて、CeFを混ぜることができれば、バイオマス度100%の実現も不可能ではないと考えているが、それはこれからの開発となる」と説明する。
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