インテージは、MR/VR技術を活用して自動車デザインを評価する「バーチャルカークリニック」を開発した。自動車デザインにおいてVRを活用するダイハツ工業と、MRコンテンツの制作を手掛ける南国アールスタジオの協力を得て開発したもので、MR/VR技術による新たな自動車デザイン評価手法を提案する。
インテージは2022年3月9日、MR(複合現実)およびVR(仮想現実)技術を活用して自動車デザインを評価する「バーチャルカークリニック」を開発したことを発表した。
バーチャルカークリニックは、車体デザインモデル(クレイモデル)や競合車、従来車種などを会場に展示して、自動車デザインを生活者に確認、評価してもらう会場型調査手法を、バーチャル技術を用いた手法に置き換えるものである。
自動車デザインにおいてVRを活用するダイハツ工業と、MRコンテンツの制作を手掛ける南国アールスタジオの協力を得て開発したもので、MR/VR技術による新たな自動車デザイン評価手法を提案する。
実際の車体デザインモデルを用いる必要がなく、デジタルで再現された新型車両の3Dモデルを基に、大きさやデザイン、質感などを確認できる他、色やバリエーションへの対応も容易に行える。また、実地で行う必要がないため場所や時間の制約からも解放される。
バーチャルカークリニックでは、実空間に置かれた実物との比較が容易なMR技術と、目の前に自動車デザインを再現できるVR技術の双方の特徴を組み合わせることで、自動車デザインの総合的な評価を実現する。具体的には、デザイン評価内容に合わせて、MR技術を用いた「自動車サイズ評価」と、VR技術を活用した「自動車デザイン評価」の2つの評価手法を用意する。
MR技術を用いた自動車サイズ評価では、MicrosoftのMRデバイス「HoloLens 2」を用いて、現実の比較対象車両とデジタルで表現された新型車両(評価対象の3Dモデル)を同時に視認することで、自動車のサイズ感やスタイルをより正確に評価できるという。
一方、VR技術を活用した自動車デザイン評価では、Facebook TechnologiesのVRデバイス「Meta Quest 2」(旧:Oculus Quest 2)を用いて、仮想空間上に新型車両(評価対象の3Dモデル)を表示させ、細部のデザインやボディーの質感などの評価を行う。また、カラーの変更やフロントグリルデザインなど一部意匠の変更や地上高の調整なども可能だとする。
同社は、バーチャルカークリニックが実地による従来の会場型調査手法の代替えになり得ることを確認できたとし、自動車の利用環境が異なるより多くの顧客の声を自動車メーカーに届けられる点や、複数のデザイン案の感触をスピーディーにつかむことができ意思決定に役立てられる点、コロナ禍でも安全に自動車デザイン調査が行える点などをメリットとして挙げる。
今後、同社はバーチャルカークリニックのサービス化を進めるとともに、適用範囲を大型家電製品や住宅設備などのデザイン評価にも広げ、バーチャル技術を活用したデザイン調査手法の応用展開にも取り組んでいくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.