ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは、第14回目となる「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果について説明。長引くコロナ禍の中で、実店舗への客足は戻りつつあるものの以前のレベルに戻るような状況ではない中、「モバイルコマースの台頭」「流通経路の多方向化」「購買方法の多様化」が課題になっているという。
ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは2022年2月24日、オンラインで会見を開き、第14回目となる「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果について説明した。長引くコロナ禍の中で実店舗への客足は戻りつつあるものの、以前のレベルに戻るような状況ではなく、EコマースもPCではなくスマートフォンなどを用いて行うモバイルコマースの利用が拡大している。そして、オンラインで購入し店頭で受け取りたい、返品は店頭で行いたいといった顧客の要望の拡大により、サプライチェーン全体でのリアルタイム在庫管理が求められているという。
今回の調査は、2021年6〜7月にかけて、4000人の購買客、450人の小売業者、650人の店舗従業員など合計5110人を対象に行われた。地域別では、北米が1640人と最も多く、欧州/中東が1215人、中南米が1080人、日本を含めたアジア太平洋地域が1185人などとなっている。
同社 社長の古川正知氏は「今回の調査では、購買客と小売業者の間において、品切れや返品プロセス、店舗従業員のモバイル装備などに関する満足度で大きなギャップがあることが分かった。このような認識のギャップを解決するためにもテクノロジーの果たす役割は重要だ」と語る。実際に「その場で品切れの商品を注文する機能」では、小売業者の経営陣の81%、店舗従業員の71%が満足と回答しているのに対し、購買客が満足と回答したのは54%にとどまっている。「返品または交換プロセス」「商品探しに役立つモバイルデバイスに関する店舗従業員の装備」、そして「オンラインショッピングの注文を指定通りに対応しているかの信頼度」などの項目についても同様の傾向がみられた。
古川氏は、コロナ禍から2年が経過する中で、今回の調査から明らかになった小売業の課題として「モバイルコマースの台頭」「流通経路の多方向化」「購買方法の多様化」の3つを挙げた。
「モバイルコマースの台頭」では、購買客が実店舗とオンラインの境界線がなくなることを希望するとともに、自身が求める商品を自ら検索して探す方が効率的だと考えるようになっていることを指摘した。特に、ミレニアル世代(25〜39歳)とX世代(40〜54歳)は、70%以上が実店舗とオンラインショッピングの融合を強く求めているという。
そのための手段として活用が広がっているのが、スマートフォンを用いたモバイルコマースだ。店舗情報の検索、セールやプロモーション、クーポンの確認、製品閲覧などをスマートフォンで行う比率が高まっている。
ただし、店舗で購入したいという需要は高水準を維持しており、購入客の69%が実店舗を持つオンライン小売業者で購入したいと回答している。これは、BOPIS(オンラインで購入し実店舗で受け取る)やカーブサイドピックアップ(ドライブスルー形式でオンライン注文商品を店舗で受け取る)などのような、店舗を軸とした商品の受け取り方法の多様化が関わっている。実際に、60%の購買客がこれらのような、さまざまな商品の受け取り方法を用意している小売業者から購入したいと考えているのだ。
商品の受け取り方法の多様化に対応するには、複数拠点の在庫情報の同期、リアルタイムの在庫可視化、在庫状況を踏まえた購買客とのコミュニケーションが必要だが、商品購入とセットで対応しなければならない返品プロセスを含めて、十全に機能しているとはいえないのが現状だ。
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