初期はスマートシティー向けのAIカメラにフォーカスしていたKriaだが、現在はロボティクスやFA向けの展開にも注力しているところだ。例えば、協働ロボット「CRB15000」にザイリンクス製品を採用している産業用ロボット大手のABBの見立てによれば、2020年以降のロボティクスにはハードウェアアクセラレーションやオープンソースの自律システム、モジュール式汎用ハードウェアなどが求められるようになる。コーナ氏は「Kriaを活用することで、それらを容易に実現できる」と強調する。
ザイリンクスは、日本国内の産業用ロボットメーカー向けにもKriaをはじめとする同社製品の提案を強化していく。東京大学と協業を進めるなどしており、産業用ロボットの有力企業が多い国内市場での存在感を高めたい考えだ。また、オープンソースソフトウェア対応という観点では、Linuxベースのロボット制御OSである「ROS 2」について、Kriaを用いてより確定的かつ信頼性の高い制御が行えるソフトウェアスタック「KRS(Kria Robotics Stack)」を展開していく方針である。
工場関連では、生産ラインの無線化などに向けて導入が検討されているローカル5G(プライベート5G)に求められるTSN関連の開発も進めている。
スマート工場において、AIカメラの判定結果を産業用ロボットの制御に遅滞なく反映させるためには、AIカメラと産業用ロボットの間をつなぐネットワークにリアルタイム性が求められる。そこで検討が進んでいるのがイーサネットベースのTSNである。
ローカル5Gによる生産ラインの無線化では、装置や設備の間をローカル5Gでつなぐ一方で、装置や設備の内部ネットワークにはTSNを用いることが想定されている。ザイリンクスは、既にTSNのサブシステムをプロダクトIPとして提供しているが、現在は5Gモデムからの通信とTSNを直接つぐための「5G-TSNブリッジ」を開発しているところだ。「早ければ2022年後半にもリリースできる。2023年には確実に提供できるだろう」(コーナ氏)としている。
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