2022年は国産ドローン元年となるか、目視外飛行可能なレベル4に向け急発進MONOist 2022年展望(2/3 ページ)

» 2022年01月31日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

ソニーとNTTイードローンが参入、VFRの取り組みも活発に

 このNEDOプロジェクト以外からも、2021年は国産ドローンの市場参入が相次いだ。まず、2021年1月にオンラインで開催された「CES 2021」で実機を初公開したのが、ソニーグループの「Airpeak(エアピーク)」である。

ソニーの業務用ドローン「Airpeak S1」 ソニーの業務用ドローン「Airpeak S1」[クリックで拡大]

 Airpeakのプロジェクトは2020年11月に明らかにされていたが、CES 2021で公開した第1弾製品はプロフェッショナル映像制作向けとなる。国産ドローンとしてハードウェアを独自開発しており、高い運動性能や耐風性能、高度な制御システムに加え、小さな機体サイズにフルサイズミラーレス一眼カメラ「α」が搭載可能なことなどを特徴としている。

 Airpeakの事業展開は、ソニーグループの主力事業でもあるプロフェッショナル映像分野で実績を積み重ねることが求められるが、機体のポテンシャルは測量や点検など産業用途にも十分に耐え得るものだ。パートナー企業を多数そろえていることも強みの一つになるだろう。

「Airpeak S1」のパートナー企業 「Airpeak S1」のパートナー企業[クリックで拡大]

 同じく2021年1月には、NTT東日本、オプティム、WorldLink & Company(ワールドリンク)の3社が、ドローン分野の新会社となるNTT e-Drone Technology(NTTイードローン)の設立を発表した。NTTイードローンは、エンルートの事業を譲り受けて自社でドローンを開発する機能を持つとともに、ドローンサービスやドローンの運用支援、ドローンから収集したデータを基にしたデータプラットフォーム事業も展開する。

 NTTイードローンが当初フォーカスするのは、エンルートのドローンで既に一定の納入実績があった農業だ。協業するオプティムも、ドローンを用いたピンポイント農薬散布技術を持ち、農業分野で事業を確実に立ち上げることで、将来的に産業分野への事業拡大を目指す方針である。

NTTイードローンの事業展開 NTTイードローンの事業展開[クリックで拡大] 出所:NTT東日本

 2021年2月、VFR、SUNDRED、ACSL、センシンロボティクス、PHB Design、理経の6社は、「Take Off Anywhereプロジェクト(TOAプロジェクト)」を発足させた。このTOAプロジェクトは、ドローンの機体開発ではなく、ドローン技術の確実な社会実装を目的としている。現在のドローンの運用では、クルマで機体を運んでから、複数人でさまざまな業務を分担して飛ばすなど、人件費だけで1日当たり数十万円かかっているが、TOAプロジェクトではまずドローンを1人で運用するワンオペを実現するための取り組みを進める。

TOAプロジェクトではまずはドローンのワンオペ運用を目指す TOAプロジェクトではまずはドローンのワンオペ運用を目指す[クリックで拡大] 出所:TOAプロジェクト

 また、TOAプロジェクトをけん引するVFRは2021年10月、藤和那須リゾートと共同で「Hello DRONE Project(ハロードローンプロジェクト)」を発表した。日本国内におけるドローンの認知向上と正しい理解促進を目的としており、そのための新た機体となるトイドローン「VFRee-T01」を開発した。VFRee-T01は、産業用ではないものの初級のドローンパイロット養成などにも活用していく方針だ。

「VFRee-T01」の外観 「VFRee-T01」の外観[クリックで拡大] 出所:TOAプロジェクト

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