Windows 10 IoT Enterprise LTSCの特徴の一つに、「Edgeブラウザがプリインストールされていない」というものがありました。Webブラウザである「Microsoft Edge」は、Windows 10の既定のブラウザとして登場したのですが、機能固定および長期サポートを重視するLTSCではInternet Explorer 11(以下、IE11)のまま据え置かれていたのです。
2020年1月にMicrosoftは、新しいMicrosoft Edgeの提供を開始し、Edge Legacyのサポート終了を発表しました(ややこしいのですが、新しいMicrosoft Edgeが登場した際に、従来のMicrosoft Edgeは“Legacy”として区別されています)。この新しいMicrosoft Edgeは、Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCに追加インストールが可能であり、Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCにおいては同ブラウザがプリインストールされています。
また、MicrosoftはInternet ExplorerをWindows OS のコンポーネントとして位置付けており、インストールされているWindows OSと同等のサポート期間を提供しています。Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCにはIE11が引き続きプリインストールされており、既存ソフトウェア資産やWebサイトの下位互換性などさまざまな理由によりIE11の継続使用が必要な環境に対応し、OSのサポート期間である2032年1月まで安全に使用できる見込みです(表2)。
Windowsのバージョン | Internet Explorer 11 | Microsoft Edge Legacy | 新しいMicrosoft Edge |
---|---|---|---|
Windows 10 IoT Enterprise | ✔ サポートは2022年6月15日まで |
✔ サポートは2021年3月で終了 |
2021年5月以降の更新でインストールされる |
Windows 11 IoT Enterprise | 非対応 | 非対応 | ✔ |
Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC | ✔ | 非対応 | 追加が可能 |
Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC | ✔ | 非対応 | ✔ |
表2 各IoT機器向けWindowsにおけるIE11、Microsoft Edge Legacy、新しいMicrosoft Edgeの対応状況(✔=プリインストールされている) |
一方で、Windows 11 IoT EnterpriseにはIE11は含まれておらず、またWindows 10 IoT Enterpriseの半期チャネルにおいてもIE11は間もなくサポート終了を迎えるため、これらOSの場合、ブラウザの下位互換性は新しいMicrosoft EdgeのIEモードで確保する必要があります。IEモードは「少なくとも2029年まで」サポートすることがアナウンスされています。
今回はIoT機器向けWindows 10/11について、大別して3種類の製品があり、サポート期間やハードウェア要件の違いがあることについて触れました。次回は、これらWindows 10/11 IoT Enterpriseで使用できるIoT機器向け機能について解説する予定です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.