2020年10月13日にサポートが終了する「Windows Embedded Standard 7」から最新の「Windows 10」世代へ移行について解説する本連載。第2回は、ハードウェアやドライバ、アプリケーションなどの互換性の問題や構築とインストールについて解説する。
過去のWindowsのバージョンアップや移行において、何度となく取り沙汰されてきたのが、バージョン間のアプリケーション互換性についてでした。個人的には、OSカーネルやファイル構成の大幅な変更があったWindows XPからWindows Vista/7への移行ほどの影響は今後起こらないと思っています。なお、マイクロソフト(Microsoft)はWebサイトでWindows 10の互換性を以下のように説明しています。
Windows 10は既存のほとんどのPCハードウェアと互換性があります。Windows 7、Windows 8、または Windows 8.1 が動作している多くのデバイスはWindows 10の要件を満たしています。
既存のデスクトップ (Win32) アプリケーションの互換性も高く、ほとんどの既存のアプリケーションは変更せずに動作すると予測されています。
このように“ほとんど互換性がある”と説明されるWindows 10ですが、今回はこの“ほとんど”の意味するところや、“ほとんど”に当てはまらないケースについて解説していきます。
図1はWindows 7世代とWindows10世代それぞれの最小システム要件を抜粋したものです。もちろんこれは最小要件であり、Windows 10 IoT Enterpriseでは、Windows 7世代で一般的ではなかったタッチパネルやTPM(Trusted Platform Module)、生体認証といった新しいデバイスの対応が進んでいるので、特定の機能を使うための特定の要件、というのは別に存在しています。
必要な機能を選択して構築するWindows Embedded Standard 7にこそ最小搭載メモリ量やストレージ容量の違いはあるものの、プロセッサ要件にはほとんど違いはありません。しかしながらプロセッサ要件のページをみると、それぞれサポートされているプロセッサ世代が異なっている事が分かります。
ここで注目していただきたいのは、各Windowsがどの世代のプロセッサまでサポートするかは記載されているものの、どの世代からサポートするかは言及していないということです。どの世代からサポートするかについて探したところ、ライフサイクルに関するページで以下のような記載がありました。
Windows製品は、リリース時点で利用可能な最新のシリコン上において、セキュリティ、信頼性、互換性がサポートされます。これには、相手先ブランド供給(OEM)によるサポートが継続されている前世代のシリコンも含まれます。
使用中のプロセッサがWindows 10をサポートしているかどうかを確認するには、Intelの製品仕様のページをご覧ください。
Microsoftが提示しているサポートプロセッサリストよりも、シリコンベンダーが提示しているプロセッサごとのドライバサポートリストのほうが対象の範囲は狭くなっています。ベンダーによるドライバが提供されていない場合、(Genericドライバによって)動作するがパフォーマンスが出ない、といったことが予想されます。これら公開されている情報をまとめると、Windows 10とシリコンサポートの関係は、以下のようなものであると考えられます。
上記ルールに従ったLTSB2016のプロセッサ要件は、インテル(Intel)の第7世代プロセッサまでのサポートでしたが、2018年6月ごろ、同ページにインテルの第8世代組み込みプロセッサが追加されています。しかしながら、現時点で、今回の追加がどのようなルールで行われているか、今後も同様の追加が行われるかといった点について、一般公開されている情報はありません。
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