Windows 11ではシステムの最小要件が変更されました。この要件はWindowsの起動や実際の動作において将来的な更新も含め十分なユーザーエクスペリエンスを得ることを目的として設定されています。IoT機器向けであるWindows 11 IoT Enterpriseでも、Windows 10 IoT Enterprise/Windows 10 IoT Enterprise LTSCから一新されています。
要件の詳細はメーカーの公開情報を参照いただく必要がありますが、代表的な要素をピックアップしたものが以下の表1となります。
項目 | Windows 10 IoT Enterprise Windows 10 IoT Enterprise LTSC |
Windows 11 IoT Enterprise |
---|---|---|
プロセッサ | 1GHz以上の互換性のある64ビットプロセッサもしくはSoC ※) | 1GHzおよび2コア以上の互換性のある64ビットプロセッサもしくはSoC ※) |
メモリ | 2GB以上 | 4GB以上 |
ストレージ | 32GB以上(Version 1903時点) | 64GB以上 |
グラフィック | Direct X9以上のアダプタ SVGA以上のモニター |
Direct X12以上のアダプタ 720p以上のモニター |
UEFI | 指定なし | Secure Bootが必要 |
TPM | 推奨 | 2.0以上必須 |
表1 Windows 10 IoT EnterpriseとWindows 11 IoT Enterpriseのシステム最小要件 |
※)対応するプロセッサはバージョンごとにリストされています
Microsoftは、Windows 10のバージョン2004(May 2020 Update)以降、32ビット版Windows 10のOEM提供を終了しました。これにより現在は64ビットプロセッサもしくはSoC(System on Chip)のみの対応となりました。さらに、Windows 11 IoT Enterpriseにおいては2コア以上という条件が追加され、セキュリティに関してもUEFI/Secure bootやTPMの要件が強化されるなどの変更が行われています。
これらの変更は現在市販されているハードウェアであればほぼ問題ないものばかりですが、旧世代のハードウェアではWindows 11 IoT Enterpriseの要件が満たせないケースがあります。実際に要件を満たさない環境でWindows 11 IoT Enterpriseのセットアップを試みると途中で中断されてしまいました。これはWindows 10のインストーラでは見られなかった挙動です。
また、Windows 11のリリースに伴い、今後登場する新しいハードウェアや規格のWindows 10対応は限定的になることにも注意が必要です。一例として、USB4やWi-Fi 6EについてWindows 11は対応するがWindows 10にバックポートしないことを表明しており、機器に求める機能や構成によってはOSの選択が限定される可能性があります。
さらに近年、Microsoftは対応するプロセッサ表記をシリーズ(製品世代)ごとから個別の型番に変更しています。お使いのハードウェアの対応可否については、Microsoftの公開するプロセッサリストや、あるいはハードウェアベンダーのサポート情報を確認いただきたいと思います。
なお、Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCには、Windows 10のクライアントエディションであるWindows 10 Enterprise 2021 LTSCの要件が適用されることも覚えておいてください。
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