ついに登場したWindows 11、IoT機器向けでは何が変わるのかWindows 11時代に突入するIoT機器向けWindows(1)(2/3 ページ)

» 2022年01月26日 10時00分 公開

システムの最小要件はIoT機器向けのWindows 11でも一新

 Windows 11ではシステムの最小要件が変更されました。この要件はWindowsの起動や実際の動作において将来的な更新も含め十分なユーザーエクスペリエンスを得ることを目的として設定されています。IoT機器向けであるWindows 11 IoT Enterpriseでも、Windows 10 IoT Enterprise/Windows 10 IoT Enterprise LTSCから一新されています。

 要件の詳細はメーカーの公開情報を参照いただく必要がありますが、代表的な要素をピックアップしたものが以下の表1となります。

項目 Windows 10 IoT Enterprise
Windows 10 IoT Enterprise LTSC
Windows 11 IoT Enterprise
プロセッサ 1GHz以上の互換性のある64ビットプロセッサもしくはSoC ※) 1GHzおよび2コア以上の互換性のある64ビットプロセッサもしくはSoC ※)
メモリ 2GB以上 4GB以上
ストレージ 32GB以上(Version 1903時点) 64GB以上
グラフィック Direct X9以上のアダプタ
SVGA以上のモニター
Direct X12以上のアダプタ
720p以上のモニター
UEFI 指定なし Secure Bootが必要
TPM 推奨 2.0以上必須
表1 Windows 10 IoT EnterpriseとWindows 11 IoT Enterpriseのシステム最小要件

※)対応するプロセッサはバージョンごとにリストされています

 Microsoftは、Windows 10のバージョン2004(May 2020 Update)以降、32ビット版Windows 10のOEM提供を終了しました。これにより現在は64ビットプロセッサもしくはSoC(System on Chip)のみの対応となりました。さらに、Windows 11 IoT Enterpriseにおいては2コア以上という条件が追加され、セキュリティに関してもUEFI/Secure bootやTPMの要件が強化されるなどの変更が行われています。

 これらの変更は現在市販されているハードウェアであればほぼ問題ないものばかりですが、旧世代のハードウェアではWindows 11 IoT Enterpriseの要件が満たせないケースがあります。実際に要件を満たさない環境でWindows 11 IoT Enterpriseのセットアップを試みると途中で中断されてしまいました。これはWindows 10のインストーラでは見られなかった挙動です。

 また、Windows 11のリリースに伴い、今後登場する新しいハードウェアや規格のWindows 10対応は限定的になることにも注意が必要です。一例として、USB4やWi-Fi 6EについてWindows 11は対応するがWindows 10にバックポートしないことを表明しており、機器に求める機能や構成によってはOSの選択が限定される可能性があります。

 さらに近年、Microsoftは対応するプロセッサ表記をシリーズ(製品世代)ごとから個別の型番に変更しています。お使いのハードウェアの対応可否については、Microsoftの公開するプロセッサリストや、あるいはハードウェアベンダーのサポート情報を確認いただきたいと思います。

 なお、Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCには、Windows 10のクライアントエディションであるWindows 10 Enterprise 2021 LTSCの要件が適用されることも覚えておいてください。

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