新規分野として成長を見込んでいるのが外観計測領域とHSI計測領域である。亀澤氏は、外観計測領域について「人の目に依存した欠陥検査のうち、意匠性が高く、生産ボリュームがあって、既存の技術では答えが出ていない領域に、コニカミノルタグループのハードウェア、ソフトウェア技術を結集して差別化を図る」と強調する。顧客対象は、グローバルの自動車メーカーや情報端末メーカー、そられのサプライチェーンとなる。
一例となるのが、買収したEinesのトンネル型外観計測システムと、画像IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「FORXAI」の組み合わせである。Einesのシステムは、シャープペンシルの芯の直径ほどの欠陥を見つけ出すことが可能だ。顧客は、これらの欠陥を分類、分析することで工程改善につなげたいと考えており、そこで役立つのがFORXAIの画像AI(人工知能)技術になる。
また、スペインに拠点を置くEinesのグローバル展開に向けて、センシング事業傘下のRadiantが米国の大手EV(電気自動車)メーカーへの導入を支援するなどグループ連携も進んでいる。この他、自動車分野の外観計測では、塗装欠陥検査装置や燃料電池部材検査などにも採用が広がっているという。
HSI計測領域の最大の特徴となるHSI技術は、異なる物質を捉える感度と高精細な画像分析力を持つことから物質の混入や分布を見いだすことができる。Specimはこれまで、研究用途以外でのHSI技術の事業展開は、ソーティングシステムのパートナーを介して行っていた。今後は、コニカミノルタのセンシング事業が持つ顧客資産に直接HSI技術を提案できるようになる。
HSI技術は、人の目がRGBの3バンドで可視光の色を判別するのに対して、可視域から赤外域を最大数百バンドの異なる色チャンネルに分解して分析を行える点が大きく異なる。「RGBカメラが、各色8ビットで24ビットに分解できるとすれば、HSI技術は最大2688ビットに分解できる。また、画素数も4Kカメラ(800万画素)の6倍に達するので、分子結合の状態に起因するスペクトルの変化も分かる。
HSI計測領域では、2025年時点でのハードウェア市場規模300億円に加えて、ソフトウェアや周辺インテグレーションも含めた1000億円の市場を対象としている。新たに投入した高速のデータ処理を担うプラットフォーム「Specim One」によってさまざまなシステムへのインテグレーションが容易になるので事業拡大につなげられるとしている。
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