コニカミノルタは、新たな事業成長の核となるインダストリー事業の概要と、その一角をなす画像IoT(モノのインターネット)ソリューション事業について説明した。
コニカミノルタは2021年12月15日、オンラインで会見を開き、新たな事業成長の核となるインダストリー事業の概要と、その一角をなす画像IoT(モノのインターネット)ソリューション事業について説明した。
同社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を含めた今後の長期ビジョンとして、個々の「みたい」に応える「Imaging to the People」を2020年10月に発表した。ここでいう「みたい」は、同社のコア技術である材料、光学、画像、微細加工を起点とした「見たい」から、現行の事業と関わるような「看たい」「診たい」「視たい」「観たい」などとなり、その結果として「看せる」「診せる」「視せる」「見せる」「観せる」という顧客価値につながっている。
コニカミノルタ 経営企画部長の吉村裕介氏は「この長期ビジョンを単なるお題目に終わらせないため、当社ならではの価値創造プロセスを構築した」と語る。この価値創造プロセスでは、技術、顧客接点、人材という無形資産を基に、画像IoTプラットフォームを中核とするデジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの4事業で顧客価値を提供し、そこから社会課題の解決につなげていく。さらに、社会価値となる5つのマテリアリティとして「働きがい向上及び企業活性化」「健康で高い生活の質の実現」「社会における安全・安心確保」「気候変動への対応」「有限な資源の有効利用」を挙げている。これらの社会価値によってステークホルダーとの連携を深めて、無形資産の強化につなげていくというサイクルを回していく。
会見のテーマなるインダストリー事業でも、価値創造プロセスの根幹となる無形資産のうち、技術、顧客接点、人材について詳細に定義している。まず技術では、これまで同社が培ってきた技術、ノウハウに、画像、材料、光学、微細加工という4つのコア技術と画像IoT・AI(人工知能)技術を掛け合わせて実現していく。「全社の能力を全て活用する。テクノロジーカンパニーとしてのコニカミノルタの縮図になる」(吉村氏)という。顧客接点では、少数であるものの大手の顧客にしっかり密着するなど、業界キープレーヤーと密接な関係を構築していく。また、直接の顧客のその先にいる顧客などを含めてサプライチェーン全体にしっかり影響を及ぼせるようにする。これら技術と顧客基盤を支える人材では、顧客への密着を実現するための製造、販売、開発が一体となったコンパクトな事業運営を進め、顧客ニーズへの迅速な対応を実現させる。
このインダストリー事業は、画像IoTソリューションに加えて、センシング、材料・コンポーネントの3事業から構成されている。主な対象市場は、既に採用実績も豊富なディスプレイ、成長著しい自動車/モビリティ、今後の成長を期待する製薬・食品・リサイクル・エネルギーなどがある。
あらためてインダストリー事業を成長の核とする背景には、現在の主力のオフィス事業を取り巻く環境が厳しさを増していることがある。このオフィス事業をデジタルワークプレイス事業に転換するとともに、計測、検査、診断の領域での事業確立を目指しており、インダストリー事業はその一つになっているのだ。
横軸を収益性や資本効率、縦軸を成長性とする事業ポートフォリオ上での位置付けでも、インダストリー事業を構成する、センシング、インクジェットコンポーネント、機能材料は既に一定の売上高規模と高い収益性を持つコア事業となっている。一方、画像IoTソリューションは、画像、AI、DX(デジタルトランスフォーメーション)などによる新しいビジネスモデルへの挑戦となる戦略的新規事業であり、飛躍的なスケールアップによる売上高成長を期待されている。
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