先ほど「荷重Wに対する変位が最小になるようなはり形状を求めましょう」と述べましたが、剛性最大化問題はコンプライアンス最小化問題のことになるので、表現を変えて「コンプライアンスが最小」となるはりの形状を求めましょう。はりの形状は、例えばスプライン曲線で表現してもいいのですが、今回ははりの高さh(x)が式1で限定されたはりの形状を求めましょう。
はりのたわみ曲線を求める基礎方程式は式17です。yがたわみ量[m]、Eはヤング率E[Pa]です。
曲げモーメントMと断面二次モーメントIが座標xの関数となります(式18)。
式18を式17に代入します。
式19をxで積分します。積分定数をC1としておきます。
C1を求めます。x=Lではりの傾きはゼロなので式21が成立します。
式21を式20に代入しておきましょう。
次はたわみ量です。式22をxで積分します。
C2を求めます。x=Lで、はりのたわみはゼロなので次式が成立します。
たわみは式26となります。
x=0のときのたわみを変位uとして、コンプライアンスを求めます。
たわみは下方向なのでマイナス値となりました。プラスに変えて、コンプライアンスは式28となります。
今考えているのはコンプライアンスの最小化で、設計変数がnとaです。式12でのf(ρ1,ρ2,ρ3……ρm)が式28に相当し、これを目的関数と呼びます。目的関数を設計変数の関数とすると、式29で表すことができます。
では、式12に従って式24をnとaで偏微分し、イコールゼロとしましょう。
この連立方程式を解くのは難しそうです。変数をnとaとして目的関数fを図6のようなグラフで表現しました。
むむ……。図5に示したような極小値がありません。nが0.05[-]より小さく、aが0.8[m/mn]より大きいところに極小値があるというのでしょうか。nがマイナス値であるとは考えられないため、n=0[-]が解で、hはxによらず一定値ということなのでしょうか。違うような気がします。図6を見ると「aは大きければ大きいほど良い」と読み取れます。そりゃそうですね。はりの高さhが大きいほど剛性は高くなります。
制約条件を入れる必要があります。aを大きくするとはりの体積が増えます。はりの体積が一定値Voという条件を入れましょう。体積がVoという制約の中で、コンプライアンスが最小(剛性が最大)となるようなnとaを求めましょう。
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