連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第8回は、前回解説できなかった「寸法数値・寸法配置」の部分と「寸法補助記号」を取り上げる。
前回から、2D図面の作製において図形の大きさを定義する「寸法」の記入について取り上げています。
あらためてJIS要覧を読んでみると、これまで普通に製図を行ってきたことでも「なるほど!」と思うことがたびたびあります。たまに目を通してみることをオススメします。
製図において大切なのは「2D CAD運用のためのテクニックではなく、正しい図面記入方式を理解すること」です。3D CAD上での寸法表示であっても、正しい図面記入方式の考え方は同じです。
今回は、前回解説し切れなかった「寸法数値/寸法配置」の部分と「寸法補助記号」について紹介します。
まずは、JISに記載されている寸法数値(寸法値)について確認してみましょう。
11.4.寸法数値(※JIS B 0001:2019 機械製図より抜粋/編集)
寸法数値は、次によって指示します。
JISに書かれている内容は、要するに「見やすい図面であること」の一言に尽きます。見やすい図面を作製することによって、はじめて「図面の一義性」を得ることができるのです。
なお、JIS規格における寸法値の記入方法は、使用するCADの機能に依存します。以降、特筆すべき内容について、筆者が普段使用している「SOLIDWORKS」の設定方法とともに紹介していきます。
図1は、斜めの形状に対して平行な寸法線と寸法値を記入した例となります。
寸法線と寸法位置の関係(図2)は、SOLIDWORKSの場合、図3のドキュメントプロパティから変更可能です。
図2のように、寸法値を□で囲んだものは、「JIS Z 8114:1999」に規定された「理論的に正確な寸法」といわれるもので、「バラつきのない図面上の理想的な寸法値」であり、「公差域をどの位置に設定するのかという基準」を意味しています。
この理論的に正確な寸法に関して、SOLIDWORKSでは寸法配置プロパティで「基準寸法」を選択することによって、寸法値を□で囲めるようになります。
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