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» 2021年12月17日 06時00分 公開

高齢者とクルマの運転、技術は何をできるのか妄想してみよういまさら聞けない自動車業界用語(18)(2/2 ページ)

[カッパッパ,MONOist]
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でも、じいちゃんからクルマを奪ったらそれこそ一気にボケそうだよ。

分かっているわよ。だから思い切った買い物をしたんだから。

それにしても最近のクルマはすごいんだね。いろんなオプションがあるんだ。

ああいう随分古いのにこだわる人も多いらしくて。今はソフトウェアなり、なんなりで追加が簡単だから割とできるのよ。

ガソリン車なんて今どき、税率が高すぎて維持できないもんね。

電気自動車でもガソリン車みたいにしてくださいって頼んで、自動運転だけどハンドル、アクセル、ブレーキ、おまけにクラッチまで付けてもらったんだから。

じいちゃんは気付かないのかな。

大丈夫よ、半分ボケかけてるし。自動運転だって昔のデータから学習してもらって、いかにも自分が運転しているようにカスタマイズしてもらったのよ。

じいちゃんの操作はあんなに荒いんだけど、外から見るとみんなと同じ自動運転車だねぇ。

今どき、事故なんて起こされたらシャレにならないから。

 「無事、クルマが病院に到着しました」。遠くからAIスピーカーがクルマが安全にドライブを終えたことを知らせてくれた。

(おわり)

高齢者とクルマについて知っておくべき数字

 日本では急速に高齢化が進んでいます。65歳以上の人口は過去最多となり、2021年9月時点で3640万人に達しました。前年から22万人増加し、総人口に占める比率も過去最多で29.1%となっています。

 また、「後期高齢者」といわれる75歳以上は総人口の15.0%を占めています。75歳以上の運転免許保有者数は、2020年度末時点で590万人です。2010年度末時点の350万人から1.7倍に増えています。

 高齢化が進み、高齢ドライバーも増えている一方で、2019年に起きた池袋の暴走事故をはじめ、高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故のニュースが定期的に報道されていますね。高齢者の自動車事故防止については自動車業界が取り組まなくてはならない問題の1つです。

 後期高齢者のドライバーによる死亡事故は、件数自体は横ばいで推移していますが、死亡事故件数全体が減少しているため全体に対する構成比は上昇傾向にあります。また、免許人口10万人当たりの死亡事故件数の推移をみると、2019年の時点で75歳以上運転者が6.9件であるのに対し、75歳未満の運転者では半分以下の3.1件となり、高齢ドライバーによる事故は決して少なくないという現状があります。

 年をとるにつれて、視力低下や反射神経が鈍くなることによる対応の遅れが増えることはもちろん、体力の衰えによって的確な運転操作や長時間の運転を継続するのが難しくなります。さらに、運転が自分本位になり、交通環境を客観的に把握できないなどの要因により、事故を起こしやすくなると考えられています。

 免許返納を求める動きも起きていますが、特に地方においては通院や買い物といった生活の足として自動車は欠かすことのできない存在です。そうした中で、国としても安全なクルマの普及を進めるため、先進安全装備を搭載した新車や中古車を購入した65歳以上の高齢者に対し、「サポカー補助金」の制度を設けています。

 なお、2019年度補正予算で確保した予算額を超過したため、サポカー補助金制度は現在、申請受け付けを終了しています。一方で、後付け用のペダル踏み間違い時加速抑制装置は普及が進んでおらず、補助金の申請件数が想定を大幅に下回ったまま申請の受け付けが終了しました。

 人間が運転した方が事故が少ないのか、自動運転が運転した方が事故が少ないのか。責任の所在や世論の受容といった問題もありますが、これから自動運転技術が進歩し、普及が進んでいけば、交通事故は減少していくと想定されます。

カッパッパ

ティア1サプライヤーで働く、入社10年を超えた中堅社員。普段は作業服に身を包み、工場と事務所、仕入れ先やお客さんとの間で、汗をかきながら現地現物をモットーに働く。Webでは「ええやん、日本自動車業界」のコンセプトのもと、現場目線で役立つ自動車関連ニュースを幅広くキュレーション。
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