PaWalet Linkは、技術のベースが有線通信であるIEEE 1901であることから、1つのICで有線と無線のハイブリッド端末を構築できる。さらに、通信にループアンテナによる磁界を用いるので、同じくループアンテナを使う磁界共鳴式のワイヤレス給電技術との併用にも適してる。
EVのワイヤレス給電では、充電スタンドから車載電池に充電を行う際には細やかな制御が求められるためデータ通信を行う必要があるといわれている。実際に、有線でのEVへの急速充電ではCANやPLCを用いた通信を行っている。PaWalet Linkであれば、ワイヤレス給電用のループアンテナ内に通信用のループアンテナを設置するだけで充電制御のための通信が可能になる。送電コイルと充電スタンド間の通信をPaWalet Linkに担わせることも考えられる。
電動キックボードのワイヤレス給電ステーションも同様のコンセプトになるが、多数の充電ポイントを有線のPaWalet Linkでつなぎつつ、それぞれの充電ポイント間で干渉が起こらないように通信距離を設定するなどの工夫を加えられる。
なお、PaWalet Linkは、海中や水中における無線通信への適用も検討されている。「低めの周波数を利用することで水中で距離数mの無線通信が可能になる。主に、太陽光発電システムや洋上風力発電システムを介した沿岸での海中通信を想定している」(古賀氏)という。現在、パナソニックは九州工業大学とともに、NICT(情報通信研究機構)の「Beyond 5G 研究開発促進事業 令和3年度新規委託研究」の一般課題として、「海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発」に採択されており、海中や水中でのPaWalet Linkの適用実証はその中で進めることになる。
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