三菱重工の江波工場がGoogle Cloudを採用、コロナ禍契機に新たな技術基盤構築へスマートファクトリー(3/3 ページ)

» 2021年10月27日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]
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Google Cloud採用の決め手は「文化面での親和性を感じた」

三菱重工の松田達也氏 三菱重工の松田達也氏 出所:グーグル・クラウド・ジャパン

 労働集約型作業の効率化では、WebカメラによるOPE(Overall Production Effectiveness)自動取得の取り組みを進めている。OPEとは、設備効率の指標であるOEE(Overall Equipment Effectiveness)の手作業版ともいえるものだ。これまで、技術者の作業効率と関わりの深いOPEや現場離脱分析は、これもまた人手となる現場観測者が行っていた。しかし人手では、リソースが限られる上にリアルタイム性も得られない。そこで、WebカメラとVertex AIを組み合わせることで、OPEと現場離脱分析をリアルタイムに行えるようにしたという。三菱重工業 民間機セグメント エアロストラクチャー事業部 工作部 工務課の松田達也氏は「Vertex AIの機能を活用して、計測対象とすべき作業員だけを追跡できるようにした。2人で行う作業でもそれぞれをきちんと切り分けて追跡できている」と述べる。

WebカメラによるOPE自動取得の活動の位置付け WebカメラによるOPE自動取得の活動の位置付け[クリックで拡大] 出所:グーグル・クラウド・ジャパン
WebカメラによるOPE自動取得の取り組み内容2人で行う作業も切り分けて追跡 WebカメラによるOPE自動取得の取り組み内容(左)。2人で行う作業もそれぞれをきちんと切り分けて追跡できている(右)[クリックで拡大] 出所:三菱重工

 さらに、熟練作業者の作業内容の可視化を目指して動画を基にした骨格分析も行ったという。「しかし骨格分析だけでは難しい面も多く、そこで動画に対する音声分析も組み合わせることで良い成果が得られた」(松田氏)という。

熟練作業者の作業内容可視化の取り組み 熟練作業者の作業内容可視化の取り組み[クリックで拡大] 出所:グーグル・クラウド・ジャパン

 松田氏は、Google Cloud採用のメリットとして、生産量の少ない航空機を手掛ける江波工場から得られるデータサンプル数でも高精度な機械学習モデルを実装できること、クラウドで構築したAIモデルをエッジデバイスで動作させられること、「Cloud SQL」や「Big Query」の利用によるデータのシームレス活用が可能なこと、データ収集から運用まで機械学習ワークフローの効率化が可能なMLOpsに対応することなどを挙げた。

Google Cloudを採用した三菱重工 江波工場のデータ分析基盤 Google Cloudを採用した三菱重工 江波工場のデータ分析基盤[クリックで拡大] 出所:グーグル・クラウド・ジャパン

 さらに、もう1つ重要なポイントとなったのが、Google Cloud社員とのディスカッションやデザイン思考の実践などを通じてイノベーションプロセスを体感する「re:workプログラム」の存在だ。松田氏は「Google Cloudのre:workプログラムと三菱重工が2018年から取り組んできた風土改革の取り組みが非常にうまくギアが合い、文化面での親和性を感じた。面白いことがやっていけるのではないかと思った」と述べている。

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