OKIは2021年10月14日、人間とAIによる360度リアルタイムモニタリングを実現するシステム「フライングビュー」の販売を開発すると発表した。無人自動運転モビリティの周囲映像を、人の目に加えてAIで常時モニタリングすることで、モビリティの高度な遠隔運用を実現する。
OKIは2021年10月14日、人間とAI(人工知能)による360度リアルタイムモニタリングを実現するシステム「フライングビュー」の販売を開始すると発表した。無人自動運転モビリティの周囲映像を、人の目に加えてAIで常時モニタリングすることで、モビリティの高度な遠隔運用を実現する。
フライングビューはOKIが持つ俯瞰(ふかん)映像合成技術と映像AIエンジンによって、モビリティの周囲360度の俯瞰的な常時モニタリングを可能にするシステムである。主に閉鎖空間で運用される自動運転車両や、自動運行船といった無人自動運転モビリティに加えて、インフラやサービス分野での自律型ロボットなどへの適用を想定している。
モビリティに搭載した4台のカメラによる周囲映像を基に、モビリティの進行方向、左右、後方に加えて、モビリティを上方から見た映像を作成する。映像は無線LANやLTE通信で配信できるため、モビリティから離れた遠隔地でオペレーターによるモニタリングが行える。俯瞰映像はオペレーター側で視点を自由に回転させることも可能。
AIによる映像モニタリングも可能で、採用するAIエンジン次第で映像からの人物検知や車両検知、物体検知、船舶検知などさまざまな検知に対応するという。検知結果は映像配信と併せてオペレーターに送られる。モビリティ周辺に歩行者が多くいるなど、オペレーターがすぐに危険を検知しづらい状況においても、事故やトラブルの予兆の素早い検知を支援する。
なお、映像合成とAI検知にはOKIのAIエッジコンピュータ「AE2100」を活用する。AE2100は交通映像解析や製造業、建設/インフラ、防災、海洋分野での活躍が期待されるデバイスである。
オペレーター側ではフライングビュー専用アプリケーションを通じて映像モニタリングを行う。単一方向の映像だけでなく、複数方向の映像を一度に画面表示して確認できる。アプリケーションはリアルタイムの映像配信以外にも、映像の録画や、モビリティ別の映像切り替え、GPS情報取得、マイクによる音声収集などの機能にも対応している。
さらにOKIは、顧客のフライングビュー運用環境に合わせたシステムインテグレーション業務も担当する。モビリティへのカメラの設置位置を調整する他、機器のキャリブレーションや絵作り、無線通信環境に応じた映像パラメータの最適化などを行う。
フライングビューはこれまでに、海上安全技術研究所による因島(いんのしま、広島県)と三鷹市(東京都)間での遠隔操船や、中日本高速道路(NEXCO中日本)による遠隔制御ロボットを用いた高度遠隔運用に関する実証実験などで採用されている。
OKIはフライングビューについて、2025年までに累計20億円の売り上げを目指すとしている。既に2021年度、あるいは2022年度での導入を検討する顧客もいるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.