CEATEC 2019 特集

ロボットの遠隔操作で必要になるのは虫の目?鳥の目?――OKIの提案CEATEC 2019

OKIは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)において、遠隔での人の作業や誘導などを支援する「AIエッジロボット」と、同ロボットをコントロールする「運用センター(コックピット)」を紹介した。人手不足などの課題解決での提案を目指す。

» 2019年10月23日 16時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 OKIは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)において、遠隔での人の作業や誘導などを支援する「AIエッジロボット」と、同ロボットをコントロールする「運用センター(コックピット)」を紹介した。人手不足などの課題解決での提案を目指す。

photo CEATEC 2019でOKIが出展した「AIエッジロボット」(クリックで拡大)

全方位を確認できるAIエッジロボットを遠隔操作

 OKIが出展した「AIエッジロボット」は、OKIの持つさまざまな技術を搭載したサービスロボットのコンセプトモデルである。自動自律で動作するロボットと運用センターに配備したコックピットからの遠隔操作を組み合わせることにより、1人で多数(10台程度)のロボットを用いて、現場業務の遂行を効率的に支援することを想定したデモをCEATEC会場では披露した。

 同ロボットにはOKIが開発したAIエッジコンピュータが搭載されており(※)、音や振動、画像、空間、においなどのさまざまなセンサーを接続してロボットに搭載することで、これらの「五感」を使った現状認識なども可能としている。また、AIエッジコンピュータにより、ロボット単独では対応できない作業環境などを判断し、対応が難しい場合は運用センターからの遠隔操作へすぐに切り替えることも可能だという。

(※)関連記事:「ないから作った」、OKIが発売する20万円以下のAIエッジコンピュータ

 ただ、遠隔操作への切り替えにおいてポイントになるのが、周辺情報の確認を自由に行える同社の技術「フライングビュー」である。フライングビューは、対象物の前後左右に搭載した魚眼レンズ付きカメラ4台と画像合成装置により、鳥瞰映像のような映像をリアルタイムで作成できるという技術である。

 OKI 統合営業本部 IoTビジネス開発室 統括部長の小川哲也氏は「遠隔操作をしようとしてもロボットの視点しかなければ、現状認識に時間がかかり、切り替え時に大きなミスが起こる可能性なども生まれる。ロボット単体で周辺環境映像が自動作成できるフライングビュー技術があるからこそ、即時切り替えなどが可能となる」とOKIの持つ技術力について述べている。

photo 運用センターへの設置をイメージした「コックピット」。フライングビューの映像などを出し続けることも可能だ(クリックで拡大)

 同技術に近い自律建機の遠隔操作については既にコマツ(小松製作所)や建設会社のNIPPO、ALSOK(綜合警備保障)、NTTドコモなどと実証試験を行っており、その他の分野からの引き合いも強いという。

 小川氏は「OKIが独自でロボットを展開することはないが、フライングビューなどを活用し自律型ロボットと遠隔支援の組み合わせによる人手不足対策には貢献できると考えている。現状ではロボットだけで完全に自律的に人作業を支援することは不可能で、トラブル対応が必要になる。こうしたソリューションを、より少ない人員で効率的に行うには、AIエッジロボットとコックピットのような仕組みが必要になる。さまざまな領域で提案を進めていく」と述べていた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.