レストランやファストフード事業などを運営するセブン&アイ・フードシステムズは2019年10月16日、同月17日から開店する同社店舗にコネクテッドロボティクス製の調理ロボット2種を導入したと発表した。
レストランやファストフード事業などを運営するセブン&アイ・フードシステムズは2019年10月16日、同月17日から開店する同社店舗にコネクテッドロボティクス製の調理ロボット2種を導入したと発表した。関東地域の飲食店では初の導入となる。調理品質の均一化やエンターテインメント性の向上を図るとともに、厳しい人手不足に悩む飲食店現場の労働環境改善を狙う。
ロボットを導入した店舗は、イトーヨーカドー幕張店(千葉市花見川区)内のファストフード店「ポッポ幕張店」。たこ焼き調理ロボットの「OctoChef(オクトシェフ)」とソフトクリームロボットの「レイタ」が同店キッチン内で稼働する。
たこ焼き調理ロボットは、たこ焼きの生地流し込みから焼上げまでを担当し、約20分の調理1回あたり最大生産量は12人分となる96個。食材の仕込みと完成したたこ焼きのトッピングは調理スタッフが行う。ソフトクリームロボットは注文受注から商品提供までを担当。調理スタッフがロボットにアイスクリームコーンをセットし、約45秒で1個のアイスクリームを提供する。
同店にロボットを納入したコネクテッドロボティクスは、調理ロボットに特化したシステムインテグレーターだ。外部ベンダーの協業ロボットに、同社独自のロボットコントローラーを組み合わせて調理ロボットを構築する。画像認識技術に強みを持ち、調理状態や対象物位置の判定を得意とする。同社社長の沢登哲也氏は「われわれが積み上げてきたロボット制御技術を用いて、キッチン調理の技をソフトウェア化する」とビジョンを語る。
飲食サービス業は全産業の中でも突出した人手不足に悩んでいる。帝国データバンクが2019年1月に取りまとめた調査では、飲食店の84.1%が非正社員の人手不足を感じているとの結果が示されている。また、たこ焼きを提供するファストフード店舗の課題として、調理中はスタッフが鉄板の前からほとんど離れることができないことや、調理スタッフの技量が商品品質に大きく影響すること等が挙げられる。スタッフの負担や教育コストが大きく、人件費など経営面でも課題が多いという。
セブン&アイ・フードシステムズ 社長の小松雅美氏は「われわれを取り巻く環境が大きく変わっている。業界を超えた戦いが加速しており、今までの取り組みに固執していては顧客の変わゆくニーズに対応できない」と指摘。このような市場環境に立ち向かうため、同社では美味しい商品を安定した品質で提供すること、エンターテインメント性の高い売り場を作ることを目的に調理ロボットの導入を決定した。
調理ロボットの導入効果について、小松氏は「店舗開店時間が10時間とすると、従来ではたこ焼き調理スタッフの作業量は10人時が必要だった。ロボットの導入によってこのうち7人時が削減できる」との見立てを示す。また、今後も調理ロボット導入を拡大する方針で、今川焼きの調理ロボットや皿洗いを行うロボットの実現可能性を検討しているという。同社運営の他店舗へのロボット導入については、「幕張店の効果を検証してから検討したい」と述べた。
コネクテッドロボティクスでは、調理ロボット導入時に発生する巨額の初期費用負担を軽減するため、RaaS(Robotics-as-a-Service)として月額課金型サービスを提供する。沢登氏は「今回のシステムを売り切りしようとすると1000万円を超える価格となる。また、ロボットの進化も早いので、最初の導入費用は安く、月額課金型で最新技術の調理ロボットを導入しやすくした」と語る。同社は2021年までに100台の調理ロボット提供を目指している。
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