連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第4回のテーマは「3D CADで設計変更している際にエラーが発生してしまう原因と対処法」だ。
皆さん、こんにちは! “テルえもん”こと、小原照記です。本連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説していきます。
それでは早速、今回のテーマを見ていきましょう。
3D CADで設計変更を行うとエラーが発生して先に進めません……。
前回は「3D CADで思い描いた形状をうまく作るには?」というテーマに対して、3D CADの基本機能を説明し、3Dモデルを作成するときの考え方やその手順について解説しました。また、上達するためには日々3D CADに触れてトレーニングすることが重要であるとお伝えしました。今回の相談内容は、その次のステップのお話です。
トレーニングや経験を積み、実際に思い描いた形状を3D CADでうまく作れるようになったものの、「いざ形状を変更しようとしたらエラーが出て先に進めなくなってしまった……」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は「3D CADで設計変更している際にエラーが発生してしまう原因と対処法」をテーマに、具体例を示しながら詳しく解説します。なお、本稿では主に、作業履歴が保存されるヒストリーベースの3D CADを用い、定義したパラメータの値を変更して形状修正を行う“パラメトリックモデリング”を題材としています。
一般的に、3D CADで形状を変更した際にエラーが生じる原因は、以下の2つが考えられます。
これらがどういったことを意味しているのか、以降でもう少し詳しく解説します。
3D CADを操作して立体形状を作成している際、特に意識することはないかもしれませんが、内部では、作成された面や線(エッジ)、点に対して、自動的に“ID”のような名前が付与されます。このIDのことを「内部ID」と呼ぶこともあります。
イメージとしては、「面1」「面2」「エッジ1」「エッジ2」といったような名前が付与され、作業を進めていく中で「この寸法はエッジ1を基準に付けられている」「面2を基準に押し出しが行われている」「エッジ2にフィレットを付けている」などの情報を、3D CADが内部的に記録しています。
つまり、3D CADは「ここの形状のこの箇所に、フィレットを付けている」といった“形状での認識”ではなく、「『エッジ2』という内部IDを持つ部分に、フィレットを付けている」といったように、要素(エンティティ)と作業/フィーチャをひも付けて記録しています。そのため、既にスケッチで描かれている線を消して、再度同じように(同じスケッチ形状で)描き直したとしても、内部IDが異なるため、整合性がとれずにエラーとなる場合があります。
図2のような状態から、例えば「面2」や「エッジ2」が削除されてなくなってしまうと、それを参照して作業していたはずの押し出しができなくなったり、フィレットが付けられなくなったりして、エラーが起きてしまうのです。
使用している3D CADの種類によっては、エラーとはならず、“参照関係がなくなるだけで、形状はそのまま保持される”ものもあります。しかし、これだと設計変更した際に、(参照関係がなくなっているので)こちらの意図したように形状が連動して修正されない、といったことが起こり得ます。エラーが出過ぎるのも悩ましいのですが、「いつの間にか参照関係が切れてしまっている……」というのも困りものなので注意が必要です。
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