日本の製造業の現状とその打開策【後編】アイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(12)(4/4 ページ)

» 2021年10月14日 10時00分 公開
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女性のエンジニア進出

 筆者の前職の部署では、電気エンジニアと機構エンジニアがほとんどであり、女性は全くといってよいほどいなかった。おそらくその理由は、製造業といえば工具を持って作業したり、手に油が付いたりと、多くの女性にとって敬遠されがちな仕事に見えるからであろう。

 しかし、現在の製品はハードウェアの技術が高止まりし、ソフトウェアで差別化を図る時代になってきた。さらに、「モノ」だけでは売れず、「コト」と一体になって評価される時代になってきている。つまり、工具を持って手に油の付いたエンジニアだけが活躍する製造業ではなくなり、女性が活躍できる場は確実に増えてきているといえる。製品を購入する人の半分は女性である。顧客目線でのモノづくりの必要性からも、製造業により多くの女性の進出を促すことも日本の課題といえる。

まとめ

 日本のモノづくりの優位性の半分は、【前編】でお伝えした設計者の信頼性へのこだわりである。設計スピードの早さとコストの安さという土俵に安易に上ってはならない。そして、残りの半分の優位性は、今回お伝えした部品メーカーが支えている。よって、日本のモノづくりの優位性の半分を担う部品メーカーが、このまま衰退していくわけにはいかないのである。

 それを解決するのが、効率化と連携化、拡張化を目指す「製造業のDX」の大きな波であると捉えることができ、この波が設計メーカーと部品メーカー、さらには組み立てメーカーをも大きく飲み込んでくれることを期待するしかないと考えている。

 さらに、そこには「『モノ』から『コト』へ」というトレンドがあり、ITエンジニアやソフトウェアエンジニアの活躍が期待されている。しかし、ただ単にエンジニアの数が増えるだけではダメであり、主導権を持ってビジネスを進めていくという、マインドの変化も必要になってくる。そこには、男性だけでなく、女性エンジニアの活躍できる場も多くあることを添えておきたい。 (連載完)

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筆者プロフィール

小田淳

オリジナル製品化/中国モノづくり支援
ロジカル・エンジニアリング 代表
小田淳(おだ あつし)

上智大学 機械工学科卒業。ソニーに29年間在籍し、モニターやプロジェクターの製品化設計を行う。最後は中国に駐在し、現地で部品と製品の製造を行う。「材料費が高くて売っても損する」「ユーザーに届いた製品が壊れていた」などのように、試作品はできたが販売できる製品ができないベンチャー企業が多くある。また、製品化はできたが、社内に設計・品質システムがなく、効率よく製品化できない企業もある。一方で、モノづくりの一流企業であっても、中国などの海外ではトラブルや不良品を多く発生させている現状がある。その原因は、中国人の国民性による仕事の仕方を理解せず、「あうんの呼吸」に頼った日本独特の仕事の仕方をそのまま中国に持ち込んでしまっているからである。日本の貿易輸出の85%を担う日本の製造業が世界のトップランナーであり続けるためには、これらのような現状を改善し世界で一目置かれる優れたエンジニアが必要であると考え、研修やコンサルティング、講演、執筆活動を行う。

ロジカル・エンジニアリング Webサイトhttps://roji.global/

著書


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