「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2021年10月7日、オンラインで「IVI公開シンポジウム2021-Autumn-」を開催した。今回はその中から、IVI 理事長の西岡靖之氏による講演「動き出す、中小製造業!〜つながるものづくり実践編(第一話)〜」の内容を紹介する。
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2021年10月7日、オンラインで「IVI公開シンポジウム2021-Autumn-」を開催した。今回はその中から、IVI 理事長の西岡靖之氏による講演「動き出す、中小製造業!〜つながるものづくり実践編(第一話)〜」の内容を紹介する。
IVIは、IoT時代におけるモノづくりとITの融合によって可能となる新たなモノづくりの姿を“緩やかな標準”というコンセプトをもとに実現することを目的とした団体である。日本機械学会 生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体とし、2015年6月に設立された。「ボトムアップアプローチ」や「緩やかな標準」「協調と標準のルール作り」などを目指し、製造現場の課題解決をベースにデジタル技術の現実的な活用のカタチの構築などに取り組んでいる。
ただ、大手製造業などが、DX(デジタルトランスフォーメーション)などを含め取り組みを深めていくのに対し「中小製造業の本音としてはピンときていないところも多い。AI(人工知能)やロボティクスなどのキラキラした話はあるが、中小製造業の置かれている現状とは乖離がある」と西岡氏は語る。そこで、あらためて中小製造業をターゲットにDXの進め方について紹介した。
中小製造業のデジタル化の現状を見ると、IoT(モノのインターネット)やAIの活用など以前に、業務におけるITシステムやデータ管理の環境が整理されておらず、個々のデータはあるにもかかわらず、データを活用できる環境になっていない場合が多い。「製造現場には無数のExcelが散在しており、それが二重三重の入力になっていたり、古くてデータ品質が確保できなかったりするなどの問題になっている」と西岡氏は指摘する。
西岡氏は「デジタル技術の前に、業務プロセスの問題があり、それを解決してからデジタル化やスマート化、サービス化などへと進んでいく必要がある。きらびやかなデジタル活用の成功事例などもあるが、全ての大前提は業務におけるプロセスを解決するところからだと考えている」と語る。
そのため訴えているのが、まずは情報における「7つの無駄」を取るIT領域での改善活動だ。具体的には以下の無駄の削減を訴えている。
これらを意識しながら、情報の構造の見える化と流れの見える化を進め、業務のつながりを再検討することで現場業務における業務のつながりやそれに関する情報の活用方法を再検討することから開始することを西岡氏は訴えている。
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