パナソニック エレクトリックワークスのベトナムの販売代理店であるNanocoグループのCEOに、どのように中国製品に対抗していくのかなど話を聞いた。
パナソニック エレクトリックワークス(パナソニックEW)は、スイッチやコンセントなどの配線器具において、ベトナムで50%近いシェアを持つ(同社調べ)。高いシェアを支えているのが、30年来の販売代理店であるNanoco(ナノコ)グループだ。ただ、パナソニック エレクトリックワークスはアジアにおいて、中国製品によってシェアを落とした国もある。
ベトナムでいかに今のシェアを築いたのか、どのように中国製品に対抗していくのか、Nanocoグループ CEOのルーン・リュク・ヴァン氏に話を聞いた。
われわれの会社は、ベトナムで33番目の民間企業として1991年に誕生した。当時、ベトナムの経済政策※1が変わり、民間企業が認められるようになった。そして、1994年に、われわれはパナソニックとパートナーシップを結んだ。これは私の両親の仕事だが、今のような関係に発展するとは、当時の本人たちも想像できなかったのではないか。
※1…1986年にベトナム共産党がドイモイ(ベトナム語で刷新)政策を採択し、資本主義経済を導入した。
現在はNanocoグループとして6つの企業があり、配線器具などの電材の他、空調設備や照明などの販売も手掛けている。パナソニックの製品が売り上げの8割を占めている。
ベトナム国内に21カ所の営業所があり、約2時間で全国各地のユーザーにアクセスできるようになる。各営業所は販売や倉庫、配送に加え、アフターサービスの機能を持っている。拠点拡充のために、直近の5年間で2800万米ドルを投資した。このようなネットワークを築くことで、よりユーザーの近くで販売できるようになる。早めに場所を選定して営業所を立ち上げることで新規参入を防ぐことにもつながり、競合に打ち勝つことができる。
われわれは特に、アフターサービスに力を入れている。ベトナムの発展途上国では、現場の施工業者の技術はあまり高くないケースがある。
製品がよくても、施工業者の取り付け方が間違っていたためトラブルになることがあり、それが結果として、ユーザーからのクレームにつながる。そのため、迅速にそれらのミスを処理することが重要になる。
また、社内にソフトウェア開発チームを持っており、われわれのB to BのEコマース向けソフトウェアも自社開発している。これまでもいろいろな会社が自社開発に取り組んだが、うまくいっていない。なぜならソフトウェア開発のノウハウだけでなく、業界に関する知見も持っていないと、使えないものになってしまうからだ。
例えば、欧州企業もベトナムでB to B向けのEコマースを展開しているが、製品を探すために長い識別番号を正確に入力しなければならず、1つでも間違えると見つけることができない。
これではユーザーフレンドリーではない。使いにくいということだ。
われわれのEコマースでは、ベトナムの方言も含めて、その製品が市場でどのように呼ばれているのかをソフトウェアに認識させており、それらを入力することで製品を探すことができる。製品がどこに在庫されているのか、いつ手元に届くのかもユーザーは分かるようになっている。
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