東京大学は、世界最軽量かつ最薄の皮膚貼り付け電極を開発し、皮膚に1週間、電極を貼り付けて、高精度に心電図を測定することに成功した。粘着剤を使わずに皮膚へ貼り付けるため、皮膚への負担を低減できる。
東京大学は2021年9月7日、世界最軽量かつ最薄の皮膚貼り付け電極を開発したと発表した。皮膚に1週間、電極を貼り付けて、高精度に心電図を測定することに成功。皮膚炎症の原因となりやすい粘着剤は使用しないため、皮膚への負担を低減できる。
皮膚貼り付け電極は、100nm以下の極薄性、高耐久性、高粘着性、通気性を兼ね備えた伸縮性ナノシート上に、薄膜金を形成することで作製した。水蒸気透過性が高く、通常の皮膚呼吸が可能で、汗による炎症や蒸れを防止する。粘着剤を使わずにシートの引力のみで皮膚に密着するため、装着時の皮膚への負荷を低減できる。
ナノシートは、薄いジメチルポリシロキサン(シリコーンゴム)を数層のポリウレタンナノファイバーで強化。また、ドライ電極のため、皮膚の伸縮や日常生活でのこすりなどに対して、高い機械耐久性を備える。
従来の皮膚貼り付け電極はゲル電極のため、1日以上経過すると乾燥し、貼り付け直後と同等の精度で計測できなかった。今回開発した電極は、貼り付け直後と1週間後で同等の信号を計測できる。
日常生活を送りながら健康状態の長期的な計測が可能になるため、病気や体調不良を早期発見するためのウェアラブルデバイスへの応用が期待される。
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