次世代CT装置開発を目指す、キヤノンが半導体検出器モジュールメーカーを買収製造マネジメントニュース

キヤノンは2021年9月9日、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)半導体検出器モジュールの製造、開発に強みを持つカナダのレドレン・テクノロジーズの株式を取得し、完全子会社化すると発表した。

» 2021年09月10日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 キヤノンは2021年9月9日、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)半導体検出器モジュールの製造、開発に強みを持つカナダのレドレン・テクノロジーズの株式を取得し、完全子会社化すると発表した。レドレン・テクノロジーズの技術を基に次世代型のコンピュータ断層撮影(CT)装置開発を加速し、CT装置関連の事業強化を目指す。

 レドレン・テクノロジーズは1999年に設立された企業で、カナダのブリティッシュコロンビア州に本拠を置く。主な事業は医療用画像診断機器やセキュリティ検査装置に用いられるCZT半導体検出モジュールの開発と製造であり、同社はこの分野で「トップクラスの技術を有している」(キヤノン)という。

 CZT半導体検出モジュールは、次世代型のCT装置として注目されている「Photon Counting CT(PCCT)」に活用することで、体内の特定物質の鮮明な画像化を可能にする。PCCTとは、照射したX線のフォトン(光子)の数を半導体センサーでカウントすることでX線を測定するCT装置である。従来の一般的なCT装置はX線を被写体に照射して、その際に生じるX線のコントラストをシンチレーターで光に変換してフォトダイオードで捉えている。これに対して、PCCTはフォトンが持つエネルギーの違いによって、半導体内に発生する電荷の量に差異が生じることを利用し、高精度に物質を区別する点が特徴だ。従来、困難だった非常に小さな病巣の早期発見や、細かな病変の把握につながる可能性がある。

 加えて従来のCT装置と比べて、少ないX線照射でノイズの少ない画像が取得できるようになる。患者の被ばく量を大幅に低減し、また撮影画像の高解像度化による診断精度の向上が期待できるという。

 キヤノンは2016年に発表した5カ年経営計画の中で「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」を重要戦略として位置付けており、その中でメディカル事業の強化と拡大を進めている。今回のレドレン社の連結子会社化により、キヤノンはPCCTの開発を加速させ、CT装置関連の事業強化を目指す方針である。また、CZT半導体検出器モジュールを世界中の医療用機器メーカーに供給することで、メディカル分野でのコンポーネント事業を強化する効果も見込む。

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