ディスコの桑畑工場で精密加工ツール向け新棟完成、断水対策も整備 : 工場ニュース
半導体製造装置メーカーのディスコは2021年8月6日、広島事業所の桑畑工場(広島県呉市)で建設していた免震構造の新棟(A棟Dゾーン)が完成したと発表した。
半導体製造装置メーカーのディスコは2021年8月6日、広島事業所の桑畑工場(広島県呉市)で建設していた免震構造の新棟(A棟Dゾーン)が完成したと発表した。
ディスコの桑畑工場全景。左端がDゾーン(クリックで拡大)出典:ディスコ
ディスコでは2010年1月に桑畑工場での最初の棟(Aゾーン)の完成以降、半導体および電子部品の需要増に合わせて増築を進めてきた。ただ、既存棟(A〜Cゾーン)の生産フロアはフルキャパシティーとなっており、これにより新棟(Dゾーン)を新たに建設した。新棟は既存棟を増設する形で建設し、延べ床面積を約1.3倍に拡張した。主に精密加工ツールの生産エリアの拡張に使う。
桑原工場A棟Dゾーンは、地上8階建ての免振構造となっており、延べ床面積は6万7795.97m2 。投資金額は約140億円となる。生産体制構築に向け、従業員を新規採用で増員する計画だ。
西日本豪雨の経験を踏まえ、断水リスクへの対応のため、工業用水と生活用水の備蓄を可能としており、地下に貯水槽を設けた。およそ1000トンの用水を備蓄でき、断水時でも精密加工ツールの生産を約10日間継続できる。また、Dゾーン各所に上水や雑用水といった生活用水を合計約560トン貯水し、有事の際でも工場上階の社員寮居住者や災害復旧にあたる従業員などが約10日間生活できる水量を確保する。生活用水の貯水槽は既存棟でも順次設置予定だとしている。
なお、広島事業所・桑畑工場および呉工場では地下水の掘削工事も推進。並行して、純水循環システムの技術を応用した水質調整設備の内製を進めており、事業継続と生産人員の生活維持に必要な水資源確保を行う。
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