パナソニックは2021年4月27日、歩行に不安を抱える人向けのトレーニングを支援する歩行トレーニングのロボットの量産モデルを開発し同ロボットによる「歩行トレーニング支援サービス」を開始することを発表した。
パナソニックは2021年4月27日、歩行に不安を抱える人向けのトレーニングを支援する歩行トレーニングのロボットの量産モデルを開発し同ロボットによる「歩行トレーニング支援サービス」を同年4月から開始したと発表した。
日本では高齢化が進む中で、健康寿命を延ばす重要性が指摘されている。パナソニックの歩行トレーニングロボットは、こうした健康寿命延伸のために、介護士によるものではなく自立支援型の介護を実現することを目指すものである。
パナソニックでは2015年からAIを使った歩行トレーニングロボットの開発を開始し介護施設、病院での実証実験を行ってきた。その中で「当初はさまざま機能を盛り込みたいと考えていた。利用者を支える機能や追尾する機能なども入れた形で実証を進めたが、実際に高齢者施設などで使ってもらうと『支援を受けたい』という人はおらず『自らの足で歩きたい』という人がほとんどだった。そこで歩行支援ではなく歩行トレーニングに特化する方向に切り替えた。自立歩行に難しさを感じた人たちが自然な形でトレーニングする機器として開発した」と、同プロジェクトを担当するパナソニック テクノロジー事業本部 事業開発室 アクティブエイジングデザインプロジェクトの山田和範氏は述べている。
新たに量産を開始した「歩行トレーニングロボット」は、ロボットを押して歩くだけで簡単に、最適なトレーニングを提供でき、利用者の歩行能力の維持と改善が可能になるというものだ。トレーニング結果を自動で計測、記録できるため、施設スタッフの管理業務の負担軽減にもつながる。また、AI(人工知能)がロボットのハンドルにかかる力や車輪の回転情報などから歩行分析を行い、身体機能の変化を分かり易く可視化する技術を搭載している。
ロボットそのものも歩行補助器に見えないデザインで訓練を促す一方で、生活支援ロボットの安全性に関する国際規格ISO 13482を取得し、一定速度以上でのブレーキやアラートを行う機能など十分な安全配慮を行っている。
既にさまざまな施設で実証を行っているが、長期の利用と一定の歩行能力向上の成果などが見られるケースが非常に多いという。「実際に歩くのがつらく、車いすを利用していた人が、自ら歩けるようになったというケースもいくつかある」(山田氏)としている。
価格は初期費用が25万円で、月額利用料がロボット1台当たり3万円(3年契約)となる。目標販売台数は2024年度(2025年3月期)には年間1500台の販売を目指すとしている。
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